« 寒波、賑わい | トップページ | Aureole “Nostaldom” release party (高円寺HIGH) »

2010/01/17

「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン 東洋と西洋のまなざし」(東京都写真美術館)

先日、目黒の写真美術館でやっていた「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン 東洋と西洋のまなざし」展へ行って来た。

カルティエ=ブレッソンは、以前 「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」へ行った時に虜になった写真家さん。
その後パリへ行った際に、アンリ・カルティエ=ブレッソン財団へ訪れた。
滞在していたカルチェ・ラタンのムフタール界隈からモンパルナスまでお散歩がてらてくてくと歩く。
駅から程近い場所にあったのだけれど小さな建物なので入り口がわかりにくい。

Hcb_01

※これがアンリ・カルティエ=ブレッソン財団

ブレッソンの写真だけを展示するのではなくて他の展示もする主旨のようで、私が行った時にはHELEN LEVITTの展示をやっていた。

陽光がよくはいる非常に気持ちのいい建物で、白い内装が爽やかで清々しい。
最上階では常設展としてブレッソンの写真と彼が使っていたライカⅠ型が展示されていた。
座れるようになっていて、ブレッソンの世界にいつまでものんびりと浸っていられる素敵な場所だった。

Ki01_3
木村伊兵衛撮影による、アンリ・カルティエ=ブレッ
ソン
(1954年)

ライカによって写真史に大きな足跡を残した二人の写真家にスポットをあてた「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン 東洋と西洋のまなざし」展。
展示は、木村伊兵衛からはじまり、次にブレッソン。

木村伊兵衛は名前は知っていたものの、実はいままでちゃんと作品を見たことがなかった。

木村の写真は、ブレッソンの写真に比べると繊細で優しい。
この一瞬!と力をいれてシャッターを切ったというよりは、その場面をふわりと切り取ったような印象で、融通無碍に写真と向き合っているようである。
だから彼の写真を見ていると、当時の光景の中に自分がふっとはいってしまったような錯覚を覚える。

木村は厳格な構図を嫌い、「粋」を好んだという。
つまり、がちがちに固めるのではなく、あえて何処かを抜くということなのだろう。

その一方で、ポートレイトはその人物を真っ直ぐ表現しようという気持ちが込められているように思える丁寧さが窺える。

Hcb_01_2

アンリ・カルティエ=ブレッソン撮影による、木村伊兵衛(1954年)

ブレッソンの写真は、兎に角その一瞬に魂が込められている。
その場の空気を表現する木村に対して、ブレッソンの写真は枠の中に完璧な構図を構築する。
ブレッソンの写真の周囲に黒い枠があるものが多いのは、「これはトリミングしていません」ということを視覚的に主張しているのだそう。

Hcb01

「サン=ラザール駅裏、パリ」(アンリ・カルティエ=ブレッソン)

ちなみに、このサン=ラザール駅裏が唯一トリミングされたものなのだとか。

もともとシュルレアリスムに影響を受けて画家を目指していたせいなのか、彼の写真は明暗のつき方やその構図がシュルレアリスムの雰囲気を持ったものが多い。
写真というよりは、写真という手段を用いたアートという感じである。
だから、彼の写真は木村のようにふっとその世界にはいれてしまうような類いのものではなくて、それどころか完璧さにドキドキさせられてしまう。
目の前の光景がフィルムにまさに「焼き付けられた」という力強さ。

そして、ポートレイトにおいては、実直に撮影している木村と違い、その人物の人となりを背景を含めた全体で表現しようとしている姿が窺える。

今回の写真展では、双方のコンタクトプリントも展示されている。
ブレッソンは日本初公開。
似たような構図を数枚撮影して、その流れの中から一枚を選んでいる木村に対して、ブレッソンは「これ」という構図をばしばしっと撮影して、構図違いの中から選んでいるようである。
彼らが何を見て何にシャッターを切り、そしてその中からどれを選んだのかということを見られるだなんて、なんとも贅沢。

これで700円だなんて安過ぎる。
行けたらもう一度行きたい展示。

|

« 寒波、賑わい | トップページ | Aureole “Nostaldom” release party (高円寺HIGH) »

絵・デザイン」カテゴリの記事

コメント

私も行こうと思っていた展示だよ。
やっぱりいいのかあ。
行かねば。終わらないうちに。

投稿: snow | 2010/01/18 02:55

「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」よりはブレッソンの見応えは少ないのだけれど、木村伊兵衛と並べることによる対比が面白い展示。
二人の歴史の重みを感じた。

投稿: *yuka* | 2010/01/19 00:57

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/158210/33018553

この記事へのトラックバック一覧です: 「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン 東洋と西洋のまなざし」(東京都写真美術館):

» 写真美術館『写真表現の軌跡 第1部 日本の写真:渡来から1950年代まで』 [愛と苦悩の日記]
■今日は有給を取ったので、写真美術館の「写真表現の軌跡 第1部 日本の写真:渡来から1950年代まで」を見てきた。たまたま無料で見られる日だったのでラッキーだった。パンフにもあったように作品数は十分でないが、昭和初期のモンタージュを多用したモダニズム風の作品など、シュールレアリストのような実験的な作風はちょっとした発見。今、写真でそういう技巧的なことをやらなくなったのは、逆に土門拳のような人の影響...... [続きを読む]

受信: 2010/01/21 07:22

» 「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン」を観た! [とんとん・にっき]
東京都写真美術館で「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン 東洋と西洋のまなざし」を観てきました。写真については僕はほとんど何も知らないのですが、ブレッソンについては2007年7月に東京国立近代美術館で開催された「アンリ・カルティエ=ブレッソン... [続きを読む]

受信: 2010/01/23 20:58

« 寒波、賑わい | トップページ | Aureole “Nostaldom” release party (高円寺HIGH) »