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2010/01/23

犬はいつも足元にいて / 大森兄弟

Inu

犬はいつも足元にいて
大森兄弟

第46回文藝賞受賞作
第142回芥川賞候補作

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父親に押し付けられた犬の世話をする中学生の僕。
いつでも忠実な犬が、唯一行きたいことをアピールする場所、それは公園の茂みの奥。犬はそこで得体の知れない腐った肉を掘り起こすのだが・・・という話。

筆者名の通り、この作品を書いているのは32歳と34歳の兄弟。
漫画だったら藤子不二雄など共作している人がいたけれど、小説界では初なのかな。
ちなみに藤子不二雄ははじめこそ共作していたけれど、途中からは別々に描いたものを藤子不二雄名義で発表していたらしい。

二人で書く、というと、例えばストーリーをどうするかとかぶつかることはないのかな?と思うのだけれど、この兄弟は小さな頃から二人で物語をつくっていたから、二人で書くことも自然なのだという。その辺りは兄弟の強み、といったところか。
また、作成時に二人の間で何回も(この作品は二十回程だという)原稿をやりとりして推敲していくそうなので、「別の人間の客観的な視点」が十分付加されているという点でより磨かれ完成度が高くなっていくのかもしれない。

文章はうまく、表現の仕方が村上春樹っぽい。
タイトルや主人公が中学生で犬を飼っているというところから想像すると、とても爽やかな青春小説にでもなりそうだけれど、この作品は癖があり人物が嫌な感じに描かれている。
いつもカリカリとしていそうな母親、情けない父親、主人公に付きまとう粘着質な同級生サダ、そしてどこかずれた発言ばかりするサダの母親、何もかも見透かしたような不気味な老人。
純粋無垢でかわいいのは犬だけだが、その犬は気持ちの悪い肉を掘り起こす。

主人公とサダの関係は最後に変化するのだけれど、このサダがもし女性だったら、男版「蹴りたい背中」という感じも少しする。

作品全体に漂う「悪臭」が私は苦手なのだけれど、そのあたりは好みなのでしょうね。

犬はいつも足元にいての詳細はこちら

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第46回文藝賞は、応募総数1974扁、第1次予選、第2次予選、そして第3次予選通過作品9扁を選出、最終候補作3篇を選び出し、その結果、大森兄弟の「犬はいつも足元にいて」と、藤代泉の「ボーダー&レス」が受賞しました。「文藝賞選評」をみると、田中康夫は「将来に可能性を... [続きを読む]

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