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2009/10/31

お縫い子テルミー / 栗田 有起

お縫い子テルミー

お縫い子テルミー
栗田 有起

第129回芥川賞候補作

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一針入魂、流しの仕立て屋お縫い子テルミーの話。

島でずっと仕立て屋として一家三人で働いていたテルミーは、ある日歌舞伎町を目指して一人上京する。アルバイトをはじめた水商売のお店で、シナイちゃんという女装をして歌う男性に出会う。素晴らしい歌と彼の存在感に、テルミーはたちまち恋におちてしまう。
テルミーはシナイちゃんの家に居候することになり、自分には決して振り向いてくれないシナイちゃんへの思いを燻らせながらシナイちゃんの為のドレスを縫うことになる。

栗田さんの作品は、「オテルモル」もそうだったけれど、登場人物が飄々としている。
感情を込めずに呟いた色々の中に、涼しい顔をした真実が鎮座している、という感じ。
だから、さらさらっと読めるわりに、ああいいこと言っているなという箇所がたくさんある。
ただそのあっさりがいい点もあれば物足りなさに繋がる部分もあって、例えばテルミーがシナイちゃんをすごく好きでそのことを悩んでいても、その辛さがこちらに伝わらないので、そんなに悩む程好きだっけ?という風に感じられてしまうところは残念。
そして、シナイちゃんの家にいた時までは話が面白かったのに、その家を出たあたりから少し退屈になってしまった。

でも、架空の職業「流しの仕立て屋」という設定がとても面白く、裁縫や布たちと一時とても近しい距離にいられる不思議な話。テルミーも魅力的で、この栗田さんらしい人物の描き方が私はとても好き。

併録の「ABARE・DAICO」は小学生の男の子を主人公にした話。
瀬尾まいこさんの「卵の緒」と印象が似ている。
どちらも男の子目線の純粋でかわいい話なのだけれど、どちらかといえば私は「卵の緒」のほうが好き。

お縫い子テルミー詳細はこちら

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