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2009/09/21

TOKYO PHOTO 2009(ベルサール六本木)

Tokyophoto09

今月のはじめ、「TOKYO PHOTO 2009」へ行って来た。

「東京フォト」は、国際的な写真のアートイベントでは日本初の試み。有数のギャラリーが集まり、写真の展示と販売を行った。

サンディエゴ写真美術館エグゼクティブ・ディレクター、Deborah Klochko氏によるPHOTO AMERICA展も同時開催。アメリカの超一流ギャラリーが展示をするという大変貴重な機会。

ベルサール六本木の地下には前者が、一階には後者が展示されていた。

地下の会場は思いのほか広く、ギャラリーごとにブースが分かれている。
私が行ったことがあるギャラリーもあった。
各写真家の作品を少しずつ展示していて、ギャラリーによってカラーが全く違って面白かった。中には、展示作品の系統がバラバラな謎のギャラリーも・・・。
以下、その中でも特に気になった作品たち。

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【TOKYO PHOTO 2009】

TARO NASU

宮本隆司(みやもと りゅうじ)

崩壊した街を写した作品が印象的だった。
地震のせいなのか、取り壊しのせいなのか、既に廃墟なのか。
見慣れた形の筈の建物に亀裂が入り、奇妙に一カ所でも歪むと、ついぞ見た事も無い存在に様変わりしてしまう。味気のないビルが、圧倒的な存在感を放つ感覚が不思議だった。
昨今「廃墟ブーム」があるけれど、本来人の生活の為に建てられた建築物の中から、その人々がすっぽりと抜け落ちて骨組みだけになった世界は、覗き見した時に何故だかほんの少しの背徳感を齎す。
時が止まったようなその空間で朽ちていくものに対して美を見出してしまうそのことが、そう思わせるのだろうか。廃墟は、とても乾いている。
今回の展示の中で私好みのベストスリーのひとつ。
九龍城砦

九龍城砦(宮本 隆司)

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New Tokyo Contemporaries (青山 l 目黒)

※ニュートーキョーコンテンポラリーズは、7つのギャラリーにより結成されていて、今本さん作品を所蔵しているのは「青山 l 目黒」である。

今本淳

奄美大島のウミウシを撮影した作品たち。
小さな透明のキューブに写真が貼られていて、海の底を覗き見たようなかわいらしい作品だった。
しかも原寸らしく、ウミウシってこんなに小さいの?と驚いた。
カラフルで色々な柄のものがいて、かわいいんだな。
名前から勝手にナマコ的なものを想像していたのだけど、ウミウシはとても美しい。

ウミウシ—不思議ないきもの
ウミウシ—不思議ないきもの

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MEM

北野謙

つくりもののように色鮮やかな大阪の通天閣、
色とりどりのビーチパラソルが並ぶ砂浜とどこまでも透明な海、
街でごった返す人々が煙のようにぼやけている写真など。
長時間露光で撮影されたそれらの作品は幻想的で、夢の中の風景を見ているような非現実感。

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森村泰昌

この写真はどう見てもモンパルナスのキキの真似だけど、この人は一体何?と思ったら、世界的に有名な絵画や有名人などを真似してセルフポートレイトで表現するアーティストだった。
男性だったんだ…すごい技術。キキ風の美女にしか見えなかった。

Mのセルフポートレイト

Mのセルフポートレイト ポストカードセット(森村泰昌)

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GALLERY 21

オノデラユキ

モノトーンの世界、すっくと古着が立ち上がっている「古着のポートレイト」が印象的。
ただそこにあるのは古着なのに、何故そこにあれだけの存在感とストーリーを込められるのだろう。
古着のはっきりとした質感、後ろで不穏なような懐かしいような雰囲気を漂わせる空。
銀塩写真とバライタ大型プリントにこだわる彼女の作品は、今回の展示の中で私好みのベストスリーにはいる。

cameraChimera

cameraChimera (オノデラ ユキ)

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Les KiKi(レ・キキ)

モノトーンの世界、ぼんやりとした幻想の中に永遠を刻む巴里の姿が美しかった。
海外のアーティストかと思ったら、パリ在住の作家であるオノデラユキさんとアキルミさんによるグループ&プロジェクトだそう。
知らないで観ていたのに気に入るなんて、結局私はオノデラユキさんのテイストが凄く好みなのね。きっとアキルミさんの作品も観たら好きそう。
「針穴のパリ」の田所 美惠子さんのテイストに近い。

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石山貴美子

モノトーン、マネキンが佇む写真が印象的だった。
生命のないはずの人形に息吹があるような、そこに意志が存在するような作品。

石山貴美子写真帖 1984‐2005—五木寛之「流されゆく日々」より

石山貴美子写真帖 1984‐2005—五木寛之「流されゆく日々」より

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尾仲浩二

モノトーン、植物の上をふわりと揚羽蝶が飛ぶ作品。
陰から光に向って蝶が飛び立つ瞬間をとらえたようで、美しい。

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ZEIT-FOTO SALON

マン・レイやアンリ・カルティエ=ブレッソンなど、私が好きな大物たちの作品が並んでいた。でもブレッソンは私が好きなやつではなかったので一寸残念。

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G/P GALLERY

以前「Hackney Flowers」を観に行ったことがある、Stephen Gillの作品があった。

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GALLERY TERRA TOKYO

廣瀬遥果

青に染まった世界、光と影のコントラスト。
夜明けのようなどこまでも澄んだ青さ。
何とも言えない美しさだった。
これも今回の展示の中で私好みのベストスリーにはいる。

このギャラリーが一緒に展示していた他の2つの作品が、廣瀬さんの作品とは全くテイストが違う、どこか人工的なアートだったので、何だか不思議だった。

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DANZIGER PROJECTS

Annie Leibovitz

「From the Alice in Wonderland series」が印象的だった。
アーティスティックな衣装に身を包んだ、シュールで美しい現代版の不思議の国のアリス。Natalia Vodianova(ナタリア・ボディアノヴァ)とカール・ラガーフェルド、VIKTOR & ROLF(ヴィクター & ロルフ)、ジョンガリアーノなど大物デザイナーがモデルになっている。

映画にもなっていた人だったとは知らなかった。
機会があったら映画も観てみたいと思った。

A Photographer's Life: 1990-2005

A Photographer's Life: 1990-2005

アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生 コレクターズ・エディション [DVD]

アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生

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【PHOTO AMERICA展】

Wynn Bullock

積み重ねて来た歴史を感じさせる、オールドタイプライターの写真が印象的だった。

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Edward Steichen

モノトーンの中、くっきりと浮かび上がる"Heavy Roses" の写真が素敵だった。
密度の濃い、重厚な薔薇たちの塊。

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一度にこれだけたくさんのいい作品が見られて非常に満足度の高い展示だった。
展示は僅か三日で終わってしまっていて、期間が非常に短いのが勿体ないと思うのだけれど、これだけたくさんの作品を各ギャラリーから借りているとそれが限界なのかな。

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コメント

きのうは展示っぽい表現しなかったー。

投稿: BlogPetのmintdrop | 2009/09/24 14:27

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