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2009/08/15

映画「ミツバチのささやき」 ビクトル・エリセ

Mitsubachi

ミツバチのささやき
監督: ビクトル・エリセ
出演: アナ・トレント, フェルナンド・フェルナン・ゴメス

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ビクトル・エリセ監督長編第1作。
巡回映写の映画で「フランケンシュタイン」を観た少女アナ。イザベルに「フランケンシュタインは実は精霊で、村はずれの廃屋にいる」と聞いて、探しに行くが・・・という話。

スペインを舞台にしたこの作品は、どの場面も一つの詩を詠んでいるような美しさに満ち、どこまでも静穏を保つ。
その様は、どこかユーリ・ノルシュテインのアニメを思わせる。

巡回映写に子供たちは歓喜する。
それは普段村に娯楽らしい娯楽がないことを意味する。
でもだからこそ大きな喜びになるわけで、古き良き時代の、物がないからこその幸せな姿をそこに見た。
私は東京の中心部の出身だけれど、子供の頃近所の公園で時折映画の上映会があった。
子供の頃は滅多に映画館には連れて行ってもらえなかったので、たまの上映会はそれはそれはわくわくしたものだった。テレビの小さな画面で観るのとは違って、外気に触れながら夜大きなスクリーンで大勢で観る映画は特別なものだったのだ。たとえそれが何度も観たことがあるアニメーションでも。
最近のやれパソコンだゲーム機だのに触れて育っている子供たち、いわゆるデジタルネイティブの子たちには、そういう楽しみって何かあるのだろうか。
少し暇があれば簡単にゲームの世界に繋がれて、お手軽にメールで会話が出来て、何か気になる事があれば簡単にパソコンで調べられてしまう。
そんな彼ら彼女らには、何かを想像する、何かを切望する、何かを畏れるということはあるのだろうか。
本当の夜の闇を知っているだろうか。
生と死について考えているだろうか。

アナの曇りの無い瞳。
彼女は子供の頃の無垢さを、世界が未知に溢れているということを思い出させてくれる。
今の日本の、便利さに支配された何かが足りなく味気ない世界とは相反する、アナの見ている世界。
そこには最小限の音しかなく、世界の均衡は崩れない。
影があるからこそ、光が映える。
ぎゅうっと濃縮された世界の色。
ゆったりとした音。
その美しさに、何かを思い出し、何かに気付く。
兎に角素晴らしい作品。

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「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

みつばちのささやき、惹かれる題名ですね。レビューを見ましたが、どれも高い評価でした。詩的な映像の美しさ中でどんな子供の感性が描かれているんでしょう。今度、DVD捜してみます。

投稿: 次郎 | 2009/08/16 21:35

本当に美しい作品です。
いわゆる起承転結がはっきりしたハリウッド的な映画が好きな人には退屈かもしれませんが、空気感であったり美であったりを映画に求める人はきっと皆好きな作品なのではないかなと思います。
おすすめです。

投稿: *yuka* | 2009/08/16 23:12

きのうmintdropが、会話ー!
だけど、映写したいです。

投稿: BlogPetのmintdrop | 2009/08/19 14:40

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