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2009/07/20

エコノミカル・パレス / 角田光代

エコノミカル・パレス

エコノミカル・パレス
角田光代

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34歳、物書きの仕事をしながらそれだけでは食べていけなくてアルバイトを掛け持ちする主人公。
そんな彼女をよそに、同棲中の恋人は無職のまま理想論ばかりを掲げる。
ただでさえ生活の厳しい家に、以前旅行中に仲良くなった男性とその彼女までが転がり込んでくる。
苛立つ主人公は、よく知りもしない若い男との疑似恋愛をはじめるが・・・という話。

ストーリー全体をみると、よくも悪くもリアルな「南瓜とマヨネーズ(魚喃 キリコ)」という感じがする。

彼女の恋人は、結局現実から逃げている。
そして、逃げを逃げとしないための言い訳を偉そうに語る。
自分が認めてもらえなかった場所を馬鹿にすることで、自分のプライドを保つ。
そういった行為は、誰しも一度はしたことがあるのではないだろうか。
保身の為の言い訳。
「あいつらは結局わかっていない」
「あいつらのやっていることはくだらない」
そう言うことで、自身の能力のなさ、努力の足りなさから目を背ける。
自分が悪いんじゃない、いた場所がおかしかったのだと。
でも結局、全てを環境とか他人のせいにして逃げていたら何も生まれない。
生活費さえ得られないまま、何の成長もない。
夢ばかりみて、ふらふらと旅をして。
そんなことが許されていた若い頃。
どこにでも行ける、そんな自由さ。
でもそれは、歳を経るごとに色褪せ、日々の生活におわれていく。
やがて、生活の為に、自分が想像もしていなかった世界に足を踏み入れることになったりもする。
自分が「この人よりは…」と見下していた相手は、実は自分よりもずっと広い世界を持っているかもしれないという可能性に気付かされる。

一寸した焦燥感におそわれるような、少し悲しい作品。

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