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2009/03/22

静かに重ねる色

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以前、デザインを教わった先生の個展に行って来た。
果物、鍵、部屋、花、鉄塔と空、少女。
とても静かで上品な油絵たち。
最近あんなに静かにひとつの絵をじっくりと描くことがあっただろうか、私は。

手間のかかるものにはかけた手間の分だけしっかりと重さが加味される。
油絵の存在感はデジタルの世界で再現不可能だ。
たとえ油絵風の絵はいくら描けても、あの絵の具の厚みはパソコン上でつくりだせない。
生の絵にしかない色であったり、空気であったり。
command+Zで簡単にひとつ前の状態に戻れてしまうような、便利で実体のないデジタルの世界は重みなんて絶対に持てないんじゃないか。

先生に習っていた頃の自分。
今よりもずっと技術も経験もないけれど、でもあの頃のほうがじっくりとなにかをつくっていたような気がする。頭で考えてしまうより前に、ただただ手が動いていた。生まれて初めてコラージュをつくったのもあの頃だ。物の大きさのバランスは酷く未熟だけれど、今の私が得意とする色使いのルーツが既にそこにあった。

要領よく仕事用のデザインをつくりだす能力も大切だけれど、多少不器用でも腰を据えて時間をつかって全身全霊で生み出すこと、それはきっといつまでも私が向き合っていかないといけないこと。
自分のからだと心のすべてを注ぎ込んだ、なにか。

最近の私は、プライベートでのものづくりに行き詰まったままだけれど、完璧な構成に辿り着く事はいい意味で諦めて、まずは動いたほうがいいのかもしれない。

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