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2009/02/28

しあわせのねだん / 角田光代

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しあわせのねだん
角田光代

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何かを買った時の物の値段をベースに、日々のことについて語るエッセイ。
たとえば、「すべすべクリーム4500円」「空白330円」など。
すべすべクリームではいかに筆者が女性としてずぼらなのかが語られる。
空白の330円とは、待ち合わせ時間の勘違いによって生まれた空白の時間に飲んだ豆乳入りアイスコーヒーの値段で、その空白時間の貴重さが綴られている。

母親と行った温泉旅行の微妙な温泉宿について語られる「記憶9800円×2」には、親と子の立場の逆転という考え方に涙ぐんだ。私は、母親の老後には、幼い頃自分が母親にしてもらったように、たくさんの愛情を注いで彼女が決して寂しい思いも悲しい思いも足りない思いもしないように色々とやってあげたいと、自分の母親への思いと重ねたからなのだと思う。

「そうして三十代も後半に近づいた今、思うのは、二十代のとき使ったお金がその人の一部を作るのではないか、ということである。」

使ったお金がその人を形作っていく、という考え方にも共感できた。
20代に使ったお金が30代を、30代につかったお金が40代を・・・。
お金を使わずに得られるものもあるのだろうけれど、やはり自分が汗水たらして稼いだお金で購入した何かというものは、無料で得られる何かよりも、圧倒的に強く自分に染み込むのだ。

角田さんが会った人に、貯金額を自慢してくる人がおり、その人は何にもお金を使わずにひたすら貯めたであろうことが伺えるほど空っぽな人であったそうである。
いくらお金があったって、中身ががらんどうな大人って、酷く恐ろしい・・・。
その人は、貯めたお金で一軒家でも買ったら満足なんだろうか。趣味貯金ってどうなのよ、と思ってしまった。もっとも、ただの浪費家というのも困りものだけれど・・・。

私は今まで何にお金を使って、これからは何に使っていくのだろう?
私の中にあるルールのひとつに、「本代は惜しまない」というのがある。
だって、文庫本ならせいぜい400〜500円でしょう。たとえばデパートでカットソーを一枚買ったら9800円とかするわけで、それに比べたら本は圧倒的に安くて、且つ自分の中身に某かの影響を与える。
もっとも、ハードカバーは値段が高いし場所もとるので余程読みたい時以外は買わないので、そのあたりはやや貧乏性なのかもしれない・・・。
観たい映画があれば観る、読みたい本があれば読む、行きたい展示があれば行く。その分最近は吉祥寺や近所で古着を買うことが多い…。
そのスタンスできっとこれからもお金を使っていくのだろうな、私は。

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