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2009年2月

2009/02/28

しあわせのねだん / 角田光代

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しあわせのねだん
角田光代

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何かを買った時の物の値段をベースに、日々のことについて語るエッセイ。
たとえば、「すべすべクリーム4500円」「空白330円」など。
すべすべクリームではいかに筆者が女性としてずぼらなのかが語られる。
空白の330円とは、待ち合わせ時間の勘違いによって生まれた空白の時間に飲んだ豆乳入りアイスコーヒーの値段で、その空白時間の貴重さが綴られている。

母親と行った温泉旅行の微妙な温泉宿について語られる「記憶9800円×2」には、親と子の立場の逆転という考え方に涙ぐんだ。私は、母親の老後には、幼い頃自分が母親にしてもらったように、たくさんの愛情を注いで彼女が決して寂しい思いも悲しい思いも足りない思いもしないように色々とやってあげたいと、自分の母親への思いと重ねたからなのだと思う。

「そうして三十代も後半に近づいた今、思うのは、二十代のとき使ったお金がその人の一部を作るのではないか、ということである。」

使ったお金がその人を形作っていく、という考え方にも共感できた。
20代に使ったお金が30代を、30代につかったお金が40代を・・・。
お金を使わずに得られるものもあるのだろうけれど、やはり自分が汗水たらして稼いだお金で購入した何かというものは、無料で得られる何かよりも、圧倒的に強く自分に染み込むのだ。

角田さんが会った人に、貯金額を自慢してくる人がおり、その人は何にもお金を使わずにひたすら貯めたであろうことが伺えるほど空っぽな人であったそうである。
いくらお金があったって、中身ががらんどうな大人って、酷く恐ろしい・・・。
その人は、貯めたお金で一軒家でも買ったら満足なんだろうか。趣味貯金ってどうなのよ、と思ってしまった。もっとも、ただの浪費家というのも困りものだけれど・・・。

私は今まで何にお金を使って、これからは何に使っていくのだろう?
私の中にあるルールのひとつに、「本代は惜しまない」というのがある。
だって、文庫本ならせいぜい400〜500円でしょう。たとえばデパートでカットソーを一枚買ったら9800円とかするわけで、それに比べたら本は圧倒的に安くて、且つ自分の中身に某かの影響を与える。
もっとも、ハードカバーは値段が高いし場所もとるので余程読みたい時以外は買わないので、そのあたりはやや貧乏性なのかもしれない・・・。
観たい映画があれば観る、読みたい本があれば読む、行きたい展示があれば行く。その分最近は吉祥寺や近所で古着を買うことが多い…。
そのスタンスできっとこれからもお金を使っていくのだろうな、私は。

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2009/02/26

イッツ・オンリー・トーク / 絲山秋子

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イッツ・オンリー・トーク

絲山秋子

第96回文學界新人賞受賞作

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昨日「袋小路の男」を読んで、懐かしくなって再読した。

鬱病を患っている主人公の女性と、彼女を取り巻く男たちの話。
主人公が住んでいる街がちっともお洒落ではないけれどどこか落ち着く蒲田であるのがいいし、男たちは皆個性的。
主人公の自意識が過剰でないので、淡々と読み進められる。

当時、これを読んだ私は、すごくあっさりした読みやすい小説、という感想を持ったと思う。
でも今読み返してみると、当時はわからなかったこの作品に横たわる独特の空気感を理解できたと思う。
絲山さんの作品は、表面はドライなのに、中がぽっとやさしくあたたかい。
ゆるゆるっと開かれた物語は、最後にしゅるしゅるっとうまく閉じられる。
そして余韻が鳴る。
あの間がなんともいえない。
新人とは思えないうまさ。
最近読んだ、たとえば文藝新人賞受賞作とかは、勢いや目新しさはあっても、この「うまさ」に欠けるものが多くて。
これを読んでなんだかほっとした。

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2009/02/25

閉じて開いて冷える音

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「開くこと」

「閉じること」

後者だと、生まれたものを意図しない場所で吐き出したり、逆に無理矢理飲み込んだり、何かに合わせて自分の位置を変えたりという必要がないので、自分の中で生まれたものがより濃く育つ気がする。
自分の内に留まるその何かは、風邪をひいた時のように喉のあたりに暫し留まるのだけれど、その薄い異物感は嫌じゃない。
沈黙は、やがて閉じている花を咲かせる。

自分が立っている位置だったり、自分の内で生まれているものだったり。
その色々、を、些とも誰も理解してくれないのは、とても悲しいことだ。
でも、理解してほしいと思うのと同じくらい、果たして私は相手の事を理解しているのだろうか。
自己憐憫はたまのスパイス程度ならいいけれど、それ以上の存在は他人の痛みに鈍感にさせるだけ。
誰だってわかって欲しいのだし。
評価して欲しいのだ。

matryoshkaというバンド。
予感、未来、惑星、始まり、その裏にある退廃、みたいな。
なんだかそんな雰囲気で。
とても心地よく冷えて、磨きたての薄い硝子のよう。


Matoryoshka

zatracenie   matryoshka

このジャケットデザインも結構好き。

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食肉人形ミートパペット君

今気になっている「DIESEL」の動画
http://www.diesel.co.jp/

皆から送られてきた大量の髪の毛溢れるバスタブに恍惚の表情で浸かる美女とか、生肉で出来た気持ち悪いパペット“ピート”が陽気に歌って踊ったりとか、どの動画もかなりシュール。
私は好きな世界観。
私が今やっている仕事では、絶対にこういうテイストのサイトはつくらないもんなぁ。
ああ、羨ましい。
私もシュルレアリスム的な雰囲気のものを仕事でつくりたい。

↑おばちゃんがうっかりこさえてしまった、全然かわいくない、ミートパペット。そりゃかわいくないよ、食肉だもん・・・。でも無駄に明るい。

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袋小路の男 / 絲山 秋子

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袋小路の男
絲山秋子

川端康成文学賞受賞作

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あなたは好きな人と一夜を共にして別れるか、
何もないまま毎日会い続けるか

絲山さんは、私がちょうど文芸誌を読み出した頃に文學界新人賞をとってデビューされた作家さん。
いつデビューしたんだっけ、と思ったら2003年。
自分が文芸誌を読み出して、まだ6年くらいしか経っていないなんて短いな、と思う。
そもそも私は、小学生の頃はクラスで一番本を読んでいると言われるようなタイプだったけれど、中学生の頃はいわゆるティーンズ向けの軽い小説やミステリーしか読まなくなり、高校生の頃に至っては教科書に出て来た作品を読む程度。(でも何故か、教科書に載っていた四字熟語を全て使って夏目漱石の「こころ」のパロディを書いてクラスの子を笑わせるというようなおかしなことはやっていた…)大学生になってから、大学の購買部で買った群ようこさんのエッセイにひかれ、そこから段々読書にはまっていった。今となっては、本のない人生なんて考えられないし、純文学頑張れって思うし、自宅の本棚は洪水を起こしているし…。
そんなわけで、絲山さんは文芸誌に、文学というものに触れて間もない自分を思い出させる作家さんで、一寸特別な位置にある。

これは表題作「袋小路の男」と「小田切孝の言い分」「アーリオ オーリオ」の三作でなる本。

「袋小路の男」と「小田切孝の言い分」は、登場人物が同じで、前者は大谷日向子の視点で語られ、後者は三人称で日向子と小田切双方の視点で語られる。

日向子は小田切に片思いをしていて、小田切にいいように振り回され、周囲の友人には「あんな男やめなよ」と呆れられる。
手さえ握った事がなく、ただただ小田切を思い続ける12年。
恋人未満、家族以上の2人の不思議な関係。
そこには、絶対に千切れることのない繋がりがある。

この作品を「純愛」だとする人もいるようだけれど、そんなきれいなものではないと思う。
日向子は日向子なりに嫉妬をするし、単に関係を壊すのが怖いから踏み込めず、嫌われたくないから小田切の言うことをいいように聞いてしまうだけで。
それは純愛なんかじゃなくて、ただの臆病な恋。
でも誰しも、かたちは違えども、そんな臆病な恋の記憶はどこかに眠っているはずで。
惚れてしまった方の弱さを巧みに描いている、いい作品だと思う。

「小田切孝の言い分」を読む事で、恋愛には一方的な誤解や勘違いってつきものだよな、と思うと同時に、一寸救われる。

「アーリオ オーリオ」は、叔父と中学生の姪の話。
メールが苦手な叔父哲と姪美由の手紙のやりとりがほほえましく、星座等天体を小道具につかっているあたりもいい。

男女=付き合う、恋愛、ではなく。
ただ愛情を注ぐこと。
大切に思うこと。
その絶妙な距離感を表現した、あたたかい作品。

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2009/02/22

Coldplay Viva La Vida Tour 2009(さいたまスーパーアリーナ)

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少し前だけれど、2/12(木)にさいたまスーパーアリーナでやったCOLDPLAYのライブに行って来た。
なんだかんだ、最近さいたまスーパーアリーナに来る機会が多い気がする。
家から遠いし、音も良くないのだけれど、大人数での一体感を感じられるのは良いところ。
サマソニ以来のCOLDPLAY。

今回は平日の19:00開演だったので、仕事後だと間に合わないと思い有給休暇をもらった。
開始直前まで友人とロイヤルホストでビールを飲み、ぎりぎりに会場へ。
今回はアリーナスタンディングのBブロック。
前座を挟んだとはいえ、結局開始したのは20:15頃で、待ちくたびれてしまった…。

“Life In Technicolor”からのスタートは、サマソニと一緒だったかな、たしか。
やっぱりあの曲はスタートにぴったりで、場の空気を見事に高揚させる。

“Yellow”ではたくさんの風船が頭上を飛び交ったけれど、Bブロック後方のこちらまでは来ず。
触りたかったなぁ。

中盤、メンバがわーっと後方へ駆けて移動をはじめると、Bブロック内の人々は軽くパニック。
メンバを追いかけてみんな走る走る!
Bブロック後方に実は用意されていたBステージで演奏が始まると、皆そこ目がけて押し合い圧し合い。満員電車!?というようなプレッシャーに負けずにステージのそばに行くと、かなり間近で見る事ができた。
Bブロック万歳。

“Lovers In Japan”では、日本をイメージした画像が流れ、シュールで面白かった。
そして、カラフルな蝶の紙吹雪がわーっと舞い、なんとも華麗で幻想的だった。

クリスが弾いたエリック・サティの「 グノシェンヌ第1番」もすごく良くて、後で急にサティが聴きたくなってCDを買ってしまった。
「 グノシェンヌ第1番」は、あの不安感をあおるような、何とも不安定な感じがいい。

スケールが大きくて、とてもいいライブだった。
終わったあと、紙吹雪のカラフルな蝶たちをお土産にした。

Vivalavida

Viva la Vida

ドラクロワの「La Liberte guidant le peuple」<民衆を導く自由の女神>を使用したジャケットがいい。
ドラクロワといえば、パリに行った時にドラクロワ美術館に行ったもののぎりぎり閉園時間に間に合わなかった苦い思い出がある。

入り口がすごくわかりにくい美術館で、何度もうろうろした末にそれか・・・という感じでかなりがっかりだった。ドラクロワが死ぬまでの約7年間、実際に生活したアパルトマンとアトリエを見学することが出来るというので、是非行ってみたかったのだけれど。

もっとも、ペール・ラシェーズ墓地でドラクロワのお墓のお参りは無事出来たのでよかった。

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サティ:ピアノ作品集(1)

このCDの演奏者、高橋悠治さんは日本におけるサティ浸透の功労者なのだそう。
サティとドビュッシーって交流が深かったらしい。
どちらも好き。
影を背負ってどこか儚い感じが。

セットリスト(2009/2/12 さいたまスーパーアリーナ)

01. Life in Technicolor
02. Villet Hill
03. Clocks
04. In My Place
05. Yellow
06. Cemetries Of London
07. Chinese Sleep Chant
08. 42
09. Fix You
10. Strawberry Swing
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B stage
11. God Put A Smile Upon Your Face 〜 Talk (Dance Version)
12. The Hardest Part
13 Postcards From Far Away
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14. Viva La Vida
15. Lost!
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C stage
16. Green Eyes
17. I'm A Believer  
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18. Politik
19. Lovers In Japan
20. Death And All His Friends
---アンコール---
21. The Scientist
22. Life In Technicolor II  

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2009/02/21

アヒルと鴨のコインロッカー / 伊坂 幸太郎

Ahirukamoアヒルと鴨のコインロッカー
伊坂 幸太郎

第25回吉川英治文学新人賞受賞作

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はじめに映画を観たいなと思っていて、でも気付いたら映画も見逃していた作品。

伊坂さんって、2008年本屋大賞受賞作「ゴールデンスランバー」の方なんですね。「ゴールデンスランバー」も、気になりつつまだ読んでいなかった作品。

引っ越して来たアパートで、悪魔めいた不思議な青年「河崎」に出会う主人公、椎名。
「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけられ、一冊の広辞苑を奪う為に書店へ向かうことに・・・という話。

青年2人が本屋へ行って、たった一冊の広辞苑を奪う。
そのあらすじだけを聞いてイメージしていたのは荒唐無稽な青年たちによる青春小説。
だが、小説の内容はイメージとは大きく異なっていた。

「現在」の話と「二年前」の話が、交互に展開される。
現在の話は、椎名の視点で語られ、二年前の話は琴美というペットショップに勤める女性の視点で語られる。
琴美は女たらしの河崎が以前一ヶ月だけ付き合っていた相手で、ドルジというブータン人の彼氏がいる。
現在の話には、ドルジと思われる外国人は登場するが琴美が登場しない。何故広辞苑を奪うのか?二年前に一体何が起こったのか?という疑問を持ちながら読者は読み進めることになる。

ミステリーっぽい展開だなぁと思っていたら、もともと『オーデュボンの祈り』で「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞された方なのですね。
伏線がうまい具合に配置されていて、次へ次へと展開が気になり、あっという間に読み終えてしまった。

はじめは、いささか表現が助長であるように感じた。例えば、なかなか片付かなそうな引っ越しの段ボールを、決して消える事のないアメリカ軍隊に例えたりするのだ。伊坂作品は初めてなので、それが彼のテイストなのだろうか?と思いながら読んでいたのだけれど、読み進めるうちに気にならなくなった。

物語の終盤では、「仕掛け」に気付き、唸らざるをえない。
全ての理由が見えた時に、もう一度読み返すと、また違った見え方がしてくる。
ああ、そこは、本当はそういう意味だったのか、と。
何でもないことを素朴に語った作品もいいけれど、丁寧にプロットが練られた作品は、ああこれぞプロの仕事だなと読後の満足感が大きい。
物語の構成だけではなく、登場するモチーフたちの繋ぎ方もいいし、タイトルのつけかたも秀逸。

また、仕掛けのうまさだけではなく、登場人物たちに個性と魅力があるところもいい。

諸手を上げて面白いと言える作品。

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2009/02/19

アネモネの色水

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アネモネをひと束買って帰った。

一昨日はワイヤープランツを買って帰った。

水をたっぷり含んだ細胞を取り巻く空気は
ひんやり湿っていて、気持ちがいい。
湿り気は人を安心させるのかも。

今週は、一寸色々に疲れているみたい。

アネモネの色でくるりと結んで、
遠くに放ってしまおう。

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2009/02/15

アンティークケビントを買う

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アンティークのケビント(医療棚)は一時期とても欲しくて、でもちょうどいいものが見つからずそのままになっていた。
善福寺公園に行くついでに近所のアンティークショップ慈光を覗いた時に、私が以前欲しいと思っていたサイズそのもののケビントを見つけてしまった。
今までに慈光は何度も覗いているけれど、ケビントを見たのがそもそも初めてで、そしてそれが自分の家にぴったりのサイズ。アンティークのケビントはそもそもの流通量が少ないので、縁を感じて、一日検討した後に買ってしまった。

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まだ何をいれるか考えていないので、とりあえず以前山本商店で買った小瓶を収納。

棚の中なら猫にいたずらされないし、緑でもいれようか。

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2009/02/14

春を含む空気

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※神楽坂の飛行機雲

今日、まだ二月だというのに、湿った春の気配を感じた。
そこここに潜む、春の匂い。

心地よい夜風をあびながら、今と同じような気候のいつかの夜の記憶が呼び起こされそうな錯覚に陥る。
それが何であったか手繰り寄せようとするも、その底にはごろりと転がるただの既視感。

匂いの記憶のように、気候の記憶というのもあると思う。
たとえば夏のさらりとした気持ちのいい夜、私は子供の頃のことをよく思い出す。
お風呂上がりにさらさらとした生地の甚平を着て、母親にベビーパウダーをはたかれたこと。
春になりたての、土壌も風も全てが高揚感をもつあの時期も、様々な春の思い出がよみがえる。
でも、今日のこの気候の記憶は何だろう。
掬おうとすると指と指の間からぱらぱらと落ちてしまって、そのまま見失ってしまい、結局わからなかった。

今日はどこまでも散歩のできそうな日なのに勿体ないなと思いながら帰路についたけれど、今は外でびゅうびゅう轟々風が鳴っていて、さすがに部屋の中に籠っていたくなる。
春一番なんだろうか。

創作と自分のテンションの高め方のカンケイ。
肩肘張らない、張りぼてにしない。
今日の課題。

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2009/02/13

ポトスライムの舟 / 津村記久子

Poto第140回芥川賞受賞作、「ポトスライムの舟」を読んだ。

新卒で入った会社を、上司のモラルハラスメントが原因で辞め、現在は工場のライン作業の仕事をしているナガセ。元はパートだったが、今では契約社員にまで昇格している。
ふと目にはいった世界一周クルージングのポスター、その費用163万円はその工場での自分の年収とほぼ同額であることに気付き愕然とする。
「わかった。貯めよう」
世界一周クルージングの費用を貯める事を決意したナガセだったが・・・という話。

奈良を舞台にしていて、関西弁でどこかのんびりと展開されていく。
薄給の仕事を掛け持ちし、何かに急かされるように働いていくナガセ。
「今がいちばんの働き盛り」という入れ墨を腕にいれたいと本人は真剣に悩んでいたりするのだけれど、読み手の笑いをどことなく誘う。

主人公ナガセは薄給に悩みながらも母親と2人暮らしをする独身の29歳で、彼女のまわりには学生時代の3人の友人が登場する。
カフェをひらいているヨシカ、結婚生活の愚痴ばかり話すそよ乃、夫との離婚に悩んでいるりつ子。

私自身独身で、同じ独身の友人と話す時「結婚して子供が出来てしまった友達って、どこか別の世界に行ってしまって話が段々合わなくなることがある」ということを耳にすることがあるのだけれど、会話が噛み合ないそよ乃とヨシカの関係はまさにそうである。この世代の、独身者と子持ちの既婚者とが過ごしている生活のカラーの違いのようなものをうまく表現している気がする。

主人公ナガセの年齢、29歳、30歳というのは、ちょうどそれぞれの生き方に違いが出て来る頃合いであると思う。
結婚して子育てに追われている人、念願だった自分のお店を持つなど仕事に生きている人、そしてナガセのように薄給であることに時に不安を抱えながらも将来の為に働き続ける人。
男性であったら、ここまでカラーは変わらない。結局男性は独身でも結婚しても子供がいても社会と関わり仕事をしていくから。
だが、女性というのは、仕事の有無子供の有無でまったく生活が違ってしまう。
そういった、この世代の様子をうまく表現できている話だなと思う。

世渡りがあまりうまくないけれど実直で優しいナガセ、彼女の小さな生活の小さな幸せたちを見ることができる。
ちょっといい話を読んだなと思える作品。

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2009/02/11

Salyu Tour 2009 Merkmal(日本武道館)

Salyumerkmal

※salyuベストアルバム、MERKMAL

Salyu Tour 2009 Merkmalに行ってきた。

岩井俊二監督、リリイ・シュシュのすべてで、リリイとしてうたっていたsalyu。
リリイが好きで、とりあえずライブに行ってみようとチケットをとってみた。
“Merkmal”は、ドイツ語で、「道標」という意味。

事前にsalyuの曲も色々聴いておいた。
リリイの時とは印象が違い、リリイが自己を中に向かって追求していくスタイルの音楽だとすれば、salyuは自己を解放していく音楽。
内に向かって響いていたリリイの声は、salyuでは外に向かって放たれて響き渡る。
彼女は、本当にいい声をしている。
私は暗い方が好きなのでリリイの時の方が好みだけれど、仕事に疲れた帰宅時とか、癒されたい時にsalyuの曲は気持ちがいい。

10周年記念ライブで、内容はかなり盛りだくさん。
スクリーンの映像も凝っていて、リリイの時の曲では映画を彷彿とさせる黒い背景に白文字のデザインであったり、RELOADの文字であったり。
リリイの曲は、どれも鳥肌がたつくらい感動した。
映画の世界観がよみがえって、あの時行われていたライブに自分が行ったような気持ちになる。
リリイー!!って叫んでいる人もいた。
あんなにたくさんリリイの曲をうたってくれるとは思わなかったので、本当に嬉しかった。

salyuは声量がすごい。
いくらうたっても、うたっても、どこまでも声がのびていく。

salyuとリリイが融合した、10周年にふさわしい素晴らしいライブだった。
もう一度、リリイに会いたいなぁ・・・。

+-+-+

セットリスト

アラベスク
回復する傷

プラットホーム
be there
彗星
TOWER
飛べない翼
飛行船
エロティック
name
遠い海 夜の出会いに
Sight

光りの束
再生
landmark
Dramtic Irony
VALON-1
To U
I BELIEVE
コルテオ〜行列〜
グライド
+
*Encore*

トビラ
HALFWAY
風に乗る船

+-+-+

Lily
リリイ・シュシュの曲、「呼吸
大好きなCD。

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2009/02/09

バシッとざっくり

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雲をざっくり。
光の梯子。

霧が晴れる。
いつまでも取り巻いていた、霧が晴れる。
いつか晴れるものだとはわかっていても、中にいるうちはその将来をリアルに信じることが出来なかったりする。

走り出すのは今で、
今じゃないと何もかもがずれていってしまう。
先延ばしにしたくない、逃げたくない。
今、向かわないと、この先何度もまた同じ事を繰り返し
次のタイミングを待たないといけないことをわかっている。

今、今、今。
それこそアンリ・カルティエ=ブレッソンがシャッターをきるように
バシッときめてしまいたいものだ。

その一瞬を待つあいだ、私は神経の束になる。
この感覚はどんどん大きくなり、そして爆発する。
それは空間と時間があらためて結ばれた肉体的な喜びであり、ダンスだ。
そう! そう! そう! そう!

-Interview from Vanity Fair-

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2009/02/02

梅の木と空

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会社の近く、気付けばもう梅がだいぶ咲いている。
ぽんっぽんっと、弾むようなかわいらしい蕾と花。

オフィスビルの中にじっといたら、全然気付かなかったであろう場所の、梅の木。
駅から私が勤めるオフィスビルまでは道が直結しているので、出勤するだけなら実は地上にすら降りる必要がない。

便利はいつだって、何かを奪う。
季節だったり、
情緒だったり、
色だったり、
感受性だったり。

いつも思う。
大勢の人たちが毎朝毎朝同じ方向に流れて行くこと。
人工的な空間に一日の大半詰め込まれていること。
どうしてこうなってしまっているんだろう、この世の中は。

皆が高いビルもマンションも建てなければ、何処でも空が近かったはずなのに。
朝、中央線から美しい雲を見ながら、そう思う。
この眺めは、どうして何処ででも見られないんだろう。

便利さを享受しながらも、
諦観とともに共存しながらも、
その底には違和感がごろんとしている。
時に一面に広がったり、溶け出したり、影に隠れたり。
でも、決してなくならないし、なくなったら恐ろしいもの。

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またお昼休みにぷらりと見に来よう。
かわいいかわいい梅の木。

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2009/02/01

SCLL 10th Anniversary Live Tour (duo MUSIC EXCHANGE)

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※スパングルの最新アルバム、PURPLE

1/31(土)渋谷のduo MUSIC EXCHANGEであったSpangle call Lilli lineのライブに行ってきた。
私は最近聴き始めたけれど、今回は実は10周年ライブ。

ドリンク用のチケットを持って列に並んでいて、ふとチケットの裏を見ると整理番号が私は「111」友人は「333」だった。
ぞろ目の番号ばかりを用意しているわけがないので、これはすごい。
一寸テンション上がる。

チケットを購入したのがわりと早かったので早く入場でき、前から2列目の好位置をキープ。
メンバ全員ばっちり見る事ができた。

大坪さんの声は、儚げでありながらとても気持ちのいい響き方をする。
ご本人が「湿っぽい声」とおっしゃっていたけれど、その湿っぽさが私は好きだ。
そう、儚げで風にさらさらっと飛ばされて行く砂のように見せかけて、芯はしっかりと湿ってそこに存在感を残す、ような。
そんな声。
いい声だなぁと思いながらずっと聴いていた。
声量のある方ではないので、たまに音に声が負けてしまっていることがあって、それが一寸勿体なかった。

あとは、キーボードの林さんの佇まいと演奏が格好良かった。

途中、カジヒデキさんがゲストで参加したり、後半はピアノや弦楽器の演奏も加わったりと、10周年に相応しい素敵なライブだったと思う。
ライブ用のアレンジもよかった。
生nanoが聴けて感動したし、B.P.やroam in octave、Piano、seaなどなどどれもよかった。
会場全体がふわふわとしつつ透明感のある空気に包まれていた感じがする。

+-+-+
セットリストは以下

01. mai
02. unknown
03. mila
04. u-lite
05. Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me(with カジヒデキ)
06. Lilli Disco
07. error slow
08. B.P.
09. roam in octave
10. Piano
11. quiet warp
12. sea
13. “telephone”
14. nano
15. ice track

アンコール
16. E
+-+-+

滅多にライブをやらないらしいので、今回は行けてよかった。
spangleはいい曲ばかりなので、レコーディングバンドと言わずにもっとライブが増えるといいな。

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今回は、ライブに来た人全員に、未発表の音源がはいったCDが配られた。
5曲収録されていて、聴いてみたけれど、ボツになったことが不思議なくらいいい曲たち。

あと、10周年記念Tシャツが販売されていたので購入。
今までの曲名が全て記載されたTシャツで、一カ所誤植があるらしい。
まだ見つけていない。
黒、グレー、ピンク、紫の中からピンクを選択。
薄いピンクにシルバーの文字がかわいい。

関係ないけれど、最近デジカメのデータをパソコンが読み込んでくれないので、ケータイで撮影。
接続しているコードかデジカメ自体に問題があるのだろう。
とりあえずメモリカードリーダーでも買おうかな・・・。

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