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2009/01/18

けちゃっぷ / 喜多 ふあり

Kechap

第45回文藝賞受賞作、喜多 ふありの「けちゃっぷ」を読んだ。
※結構前に読んで、感想を書いていなかったので再読。

人と関わる事が苦手なニートで、自身のブログに思った事を書き続ける主人公、HIRO。
彼女のブログが好きだというヒロシと知り合い、彼の撮影現場に一緒に行くことになるが・・・という話。

一人称で、通常なら主人公の頭の中で進んでいることを、このHIROはいちいちブログに書き込む、という手法をとる。
長々とした語りの後に、「と私はブログに書き込んだ」という文字が続き、読み手はそれがブログに書き込まれたことがわかる。
その「と私はブログに書き込んだ」という文字が、嫌というほど繰り返しでてくる。
読み始めは些か目障りである。
見慣れてしまえば、リズムの一種として流せてしまうんだけれど。

そのつくりを、審査員たちはこぞって「新しい」と評しているわけなのだが、でもブログという不特定多数がアクセスして見ることができる場所にアップされているにも関わらず、それを読むのがヒロシだけっていうのは何だか物足りない。
ネットという場所を使うなら使うで、そこを介してもっと多くの人との繋がりが生まれてもいいはず。
複数の人にHIROの考えが共有される面白さを表現できたはず。
ヒロシとのやりとりで完結するのであれば、メールでもいいわけだし。
現代のツールを調理しきれていない感じがした。
「にゃははは」とか、全体的に馬鹿っぽいノリで饒舌すぎるくらいに語られているところも好き嫌い別れそう。
そして、どういう風に物語をまとめるのかなぁと思ったら、この主人公のわりには優等生的な、なんだかしっくりこないちっちゃな終わり方で。

そういう中途半端さが気になりつつも、軽くて読みやすいところはよかった。
電車の中とか移動中でもさくさく読める。
普段本とかあまり読まないけれど、文藝賞受賞作ってどんな作品?という人におすすめ。
けちゃっぷ=血糊(偽物の血)ということで、リアルとバーチャルの関係性なんかを考えながら読むとよりいいのでは。

個人的には読みやすさだけではなく、もう少し芯が太い作品がいいな。

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