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2008/06/07

再婚生活 / 山本文緒

Saikon 「再婚生活
★★★
山本文緒

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タイトルだけ見ると、再婚された文緒さんの幸せな日々が綴られた本かなと思うけれどそうではない。

中身は、文緒さんの鬱闘病記。

直木賞を受賞し、再婚もし、端から見たら順風満帆な人生を送っているかに思える文緒さん。
でも、本人はいつまでも満たされない思いを抱えているようで、やがて鬱病を患ってしまう。

そんな彼女の考え方を、「甘えている」と見る人もいるかもしれない。
例えば、直木賞作家で東京だけじゃなく札幌にもマンションを持っている高収入の文緒さんが仕事に対して不安を持っているなんて言ったら、仕事がなくて困っている人の中には自分の不幸自慢をしたくなる人もいるかもしれない。
例えば、再婚をして優しい旦那さんがいるにも関わらず、一人になりたいことがあると考える文緒さんに対して、結婚したくても出来ない人の中には説教をしたくなる人もいるかもしれない。

でも、以前私が書いた記事「寒空の桜」にあるように、悩みのツボは人それぞれ違うけれど、誰もが苦しい悩みの檻を持っているわけで、本人が辛いならそれは辛い事なのだ。

鬱に苦しみ、時には悪化して入院し・・・。そんな文緒さんを支える王子(文緒さんは旦那さんをこう呼ぶ)との生活が主軸にあるので、40代の再婚生活といえばそうなんだけれど、いわゆる甘い生活とは違う。
病に苦しむ妻の為に、激務の中朝ご飯もお弁当もつくってくれる王子。
でも病のせいで、そんな王子のことも邪魔に感じてしまう文緒さん。
素直に喜べない、感謝できないことって、それはそれで非常に辛いだろうなと感じてしまう。

闘病中の日記はただ重たいだけじゃなく、文緒さんらしいユーモアが織り交ぜてあるので、ただ読んでいるのが辛い闘病記という感じではない。

鬱真っただ中で薬を飲まずにはいられなかった文緒さんが、やがて回復し普通の生活が送れるようになっていく様は、とても喜ばしい。
闘病中、弱音も吐かず頑張って尽くしていた王子が、よくなった文緒さんに辛かったことを告白するところにもじーんときてしまう。

そして、身体に悪いものを食べ、身体に悪い生活をすることがどれだけ悪い影響を与えたか、ということへの気付きにも納得してしまう。
健康な心は、健康な生活から。
当たり前なことだけど、仕事におわれる現代人には、それが実践したくてもできない人が多いよね。

私もついつい友達とお酒を沢山飲んでしまうタイプだし、最近仕事で帰宅が遅くて全く自炊が出来ていないので、考えさせられるところがあった。

世の中の苦しむ人たちの心が、少しでも健やかにあるように。
私に出来ることはやっていこう、そう思った本だった。

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