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2008/05/02

スイッチ / さとうさくら

Satosakuraスイッチ
★★
さとうさくら

第1回日本ラブストーリー大賞審査員絶賛賞受賞作

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26歳、フリーター、処女で友達もいない苫子。
苫子は、自分にとって気に食わない人の首の後ろのスイッチを押すことでその人を消してしまうことを空想して鬱憤を晴らす日々。
オフィスビルでトイレ掃除のアルバイトをはじめてから、少しずつ苫子の人生が動きはじめるが・・・という話。

はっきりいって、ジャケ買いをした本。
だって宇野亜喜良の絵がすごくいいんだもの・・・。

最近、こういうパターンの話って多い気がする。
定職につかず、恋愛も上手く行かず、友達もいない・・・という。まぁ要するに主人公が基本暗くて自信がない。
先日書評を書いた「やさしいため息(青山七恵)」もそうだったな。

文章のレベルでいったら、青山七恵のほうがはるかに上手いのだけれど、でもこの作品は読み手をぐいぐい惹き付ける力を持っているように思う。
なめらかとは言い難い文章は不器用な主人公の苫子そのもののようだし、作者は人間を観察する力が強く、それ故文章がうまくなくても登場人物にリアリティがあって、情景を思い浮かべやすい。だから飽きずに最後まで読むことができる。

苫子と苫子が想いを寄せるサル男(このネーミングセンスって・・・)の恋愛よりも、私は苫子と結衣のエピソードがよかった。自分が苦手とする相手との距離感と変わっていく関係性。

一寸気になることといえば、作品のタイトルにもなっている、「スイッチ」の設定がうまくいかせていないこと。調理しきれていない、生煮えの設定のように思う。その証拠に、この作品からスイッチに関するエピソードを全て取り除いてもこの作品の印象はさほど変わらない。逆に、そういった設定に頼る必要なかったんじゃないかなぁと思うくらい。もしくは、もっとこの「スイッチ」の設定を存分にいかした話にするとか。

また、「日本ラブストーリー大賞審査員絶賛賞」といってもベタベタなラブストーリーではなく、どちらかというと人間関係や仕事で悩み、そのスパイラルから抜けるまでの話。

文章うまくないし、進行にも素人っぽいところがあるけれど、それでもじーっと長いトンネルを抜けた後に差してきた日射しのような爽やかな読後感を味わえる。
色々なことに自信が無い、なんだかもう疲れちゃった、という人にもおすすめ。
頑張る気がわいてくるかも。

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コメント

人との関係性の下手さとか、挫折後のうだうだとか、不器用な苫子には20代の自分と重なる部分がもあり、作品世界に引き込まれていきました。さとうさくらさんの作品は独特の魅力がありますね。
「どうしょうもない自分」でやっていこうとする苫子は、自分を隠している結衣にはうらやましい存在に見えるのかもしれません。私も、この二人の関係が好きです。( ̄▽ ̄)

投稿: 日月 | 2009/07/27 12:00

コメントありがとうございます。

私はまだスイッチしか読んだ事がないのですが、
他の作品もいいのですね。

相手が羨ましい故に、なかなか相容れない関係ってかんじですよね。いいですよね。

投稿: *yuka* | 2009/07/27 22:19

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