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2008/05/18

日々是作文 / 山本文緒

Hibikore日々是作文 
★★★
山本文緒

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31歳から41歳までの文緒さんが様々なとことで書いたエッセイを集めた、「コンセプトがない本」それが本書。

大まかには、「Domani」に連載した恋愛をテーマにしたエッセイ、「月刊オーパス」に連載した本をテーマにしたエッセイ、その他こまごまとしたエッセイたちの3種類で構成されている。

時には離婚後に実家で過ごす30代前半の文緒さんで、時には実家を出て一人暮らしをする30代後半の文緒さんで、時には再婚をした文緒さんだったりする。

離婚したとたんに結婚していたことが物の見事に過去のこととなり「あれ?わし、ほんとに結婚してたんだっけ」と実感がカゲロウ化し、独身の自分があったりまえな気持ちになりました。そして今年再婚してみたら、独身だった数年間のことが、記憶にはあっても実感がオブラート化し「あれ?わし、独身だったんだっけ」と、物忘れにも程があるような状態になっております。

私はその気持ちがすごくよくわかる。私も同じタイプなのだ。
付き合っている時、当たり前のように一緒にいて、自分の生活の一部のようだった恋人も、別れてしまえばいなくて当たり前、むしろはじめからいなかったのではないかというくらい遠い記憶になってしまう。

これは何も恋に限ったことではなくて、例えば仕事を辞めれば、仕事をしていたことが遠く感じられるし、仕事を再開すれば、無職だったことが遠くに感じる。
自分の立ち位置が変わる度に、前の立ち位置が嘘のように遠くなるのだ。
ああでも、やっぱり一番陽炎化するのは恋愛ですかね・・・。

あとは、直木賞候補になった時や、受賞直後の様子が書かれているのも面白い。
大きな賞を受賞した作家さんというと、「別に賞が欲しくて書いたわけじゃない」とかかっこつけてしまう人が結構いるのだけれど、文緒さんは素直に「直木賞候補になりたかった」と言っていて、その素直さが好きと思う。
そう、エッセイ全体その素直さで書かれていて、時には自分の意地の悪いところなども包み隠さず吐露をする。そうやって等身大で書かれていることで、こちらも構えずに読むことができる。
それぞれの立場年齢の文緒さんの様子をみることができて、その時に書かれた作品がこれなんだなってわかって、山本文緒ファンには必見の一冊、のような気がする。

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