福袋 / 角田光代
「福袋」
★★★★ ☆
角田光代
文藝2008年春号
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行方不明になった兄の婚約者、三重子と一緒に兄を探す羽目になった主人公の話。
39歳で、50歳くらいに見える顔や髪なのに20代前半のような服装と話し方をする三重子。
角田さんは、すごく奇妙でたまに腹立たしいのだけれど憎めない、という人物を描くのが本当にうまい。
主人公と一緒に三重子に連れ回されて、炎天下を歩き回って目眩をおぼえた気がした。
すごく短い話なのに、登場人物が濃いせいで短さを感じなかった。
ひょっとしたら私たちはだれも、 福袋を持たされてこの世に出てくるのではないか。
人生を、あけるまで中身がわからない福袋にたとえる件も面白い。
角田さんってそういう人生を悟った見方を書き記すことが多々あり、哲学風味。
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