映画「リリイ・シュシュのすべて」
「リリイ・シュシュのすべて」
★★★★★
監督: 岩井俊二
出演:市原隼人, 忍成修吾, 伊藤歩, 蒼井優 ,大沢たかお
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僕にとって、リリイだけがリアル
美しい田園風景の広がるある地方都市。
中学生の雄一は、リリイ・シュシュというアーティストに心酔し、彼女のサイトのBBSである人物と交流を重ねていく。
その一方で、学校では親友だったはずの星野からいじめをうけるようになるが・・・という話。
映画館で一度観て、DVDで何度も観ている映画。
岩井俊二作品の中でも、3本の指にはいるくらい好き。
映画公開前にウェブサイトを設置し、そこのBBSで物語を進めていたという異色作。
ドビュッシーのあの音色とグリーンの田園風景の組み合わせ、真っ赤なカイトと真っ青な空と鉄塔、など、澄んだ美しい場面が多い映画。
その美しさとは裏腹に、親の再婚、いじめ、援助交際、暴力、事故死、自殺など複雑で重い問題を抱える。
少年少女たちの感じた痛さがそのまま画面の美しさに結びついている気がする。
冬の痛い程寒い時期の方が空気が澄んで空が美しいように感じるのと同じ原理で。
自分の居場所をネットの世界に求めた雄一にとって、いじめのある学校よりもリリイの世界だけがリアルだった。
逃避ともいえる行為だけれど、音楽に救いを求める気持ちは誰しもわかるのではないだろうか。
音って、その場の空気を変える力がすごい。
この映画を観て以来、私はドビュッシーをよく聴くようになった。
飛びたい。
飛べない。
墜落する。
あの学生時代の、学校という狭い世界の中で起こっていることから抜け出せないあの歯痒さ。
外を見れば、空を見れば、世界はこんなに広いのに。
少年少女たちはそれでも狭い世界の中で救いを求めている。
そんな少年少女たちの姿に、親も先生もなんと鈍感な事か。
飛びたい。
飛べない。
墜落する。
いつか飛べる。
小さな希望を持って。
あの痛々しい程純粋で感受性の豊かな時代を。
もう戻れないあの時代を、全身で感じる事ができる映画。
ひりひりするほど痛い、あの時期を。
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