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2007/12/31

まどろむ夜のUFO / 角田光代

Madorom_2 まどろむ夜のUFO 
★★★★☆
角田光代

野間文芸新人賞受賞作

書籍の詳細情報はこちら
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・まどろむ夜のUFO

東京に住む主人公のもとに、弟のタカシが夏休みの間だけ泊まりに来た。謎の彼女のためにいそいそと料理をして変なジャムをつくる弟、弟の友人で前世を信じる恭一、強迫性障害といえるくらい几帳面なサダカ君との5日おきのデート。そんな3人に囲まれた主人公は・・・という話。

登場人物たちが皆一様に変なので、何だか奇妙な世界に迷い混んでしまったような気持ちになる。
普段であれば「こっち側」と「あっち側」と線引きをしてしまい関わる事がないであろう人々。

彼ら同士はそれはそれでわかりあえず、サダカくんは恭一とタカシを、恭一はサダカくんを「頭のおかしな奴」と思い、各々が主人公に警告を促したりする。

主人公は、「こっち側」と「あっち側」の線引きをずっと曖昧にしてふらふらと浮遊している。
時にはサダカくんに同意を求めて相談し、時には恭一と寝てしまい、時には恭一やタカシたちの怪しげな団体の集まりに加わったりする。
でも結局彼女は誰ともわかりあうことなく、表面をなでるように薄く関わった後、自分の世界へ戻ることになる。
他人との距離感、わかりあい方を考えさせられる話。
旅先など、どこか遠くで過ごす「夏の夜」のイメージが漂う作品。
それにしても、弟のつくるあの謎のジャムの材料って何なんだろう・・・。

・もう一つの扉

ある日突然ルームメイトのアサコが失踪する。
ルームシェアだけを目的に知り合った彼女のことは何もわからない。
そんな主人公のもとに、アサコと一緒に河童を見たという眼鏡男が訪ねて来て、彼と同居するはめになる・・・という話。

アサコがいなくなるのと同時に、変な世界へ通じる扉が開いてしまったなと感じる、奇妙な話。知らない街で一人道に迷った時の夕暮れのイメージ。
文章中の表現など、3つの中で一番文学的で美しい話。

・ギャングの夜

子供の頃のおばとの話と、晴男と一緒に住む部屋を探す現在の主人公の話とが代わる代わるに語られる。
住処=帰る場所を探す話。
空き部屋から空き部屋へと旅をするギャングは結局最後には死んでしまうのだ。
人はどうしてもどこかに安住の地を定めねばならない。

3つの作品の主人公たちは、どれも根を生やすことを拒んでいるようにもみえる。
足元がふわふわとして落ち着かないような、軸が斜めにずれてしまったような読後感が残った。でもその変な感じが結構好き。

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