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2007/12/10

対岸の彼女 / 角田光代

Taigan 対岸の彼女 
★★★★★
角田光代

第132回直木賞受賞

書籍の詳細情報はこちら
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小さな子供がいる専業主婦の小夜子は、公園デビューにも挫折して鬱々とした日々を過ごしていた。
仕事をすれば何もかもが好転すると思い、ベンチャー企業の女社長、葵のもとで働き始める。
既婚者子持ちで内向的な小夜子と、独身女社長で豪快な葵。
正反対だけれど次第に仲が縮まっていく二人。
だが、そんな葵の高校時代にはある出来事があった・・・という話。

奇数章は小夜子の視点で、偶数章は高校時代の葵の視点で進んで行く。
小夜子視点の章は、リアルな専業主婦の日常が語られている。
夫への不満、子育ての悩み、姑の嫌味、ママ友とのお付き合い。
そういった日常の些細な不満の中でもがき、鬱屈していた小夜子は、葵の元で仕事を始めたことで徐々に変わっていくのだ。だが、その一方で夫とはぶつかってしまう。

偶数章の高校時代の葵。
いじめから逃げ、群馬の田舎の高校に通い始めた葵は、友達付き合いに対してどこか怯えている。
その姿は今の葵からは遠く、まるで小夜子のようなのだ。
でもそんな葵の前に現れたのは、いじめも仲間はずれもグループも気にしない、明るくて楽しいナナコ。
放課後をともに過ごし、電話でも話して、夏休みには一緒にアルバイトをする。
よくある高校生の姿なのだけど、なんだかきらきらとしていて読んでいるこちらも清々しい気分になる2人の姿。
読んでいて思った。
「あ、これ、魚喃キリコの『blue』に似ている」
葵は霧島カヤ子で、ナナコは中野の雰囲気を持った遠藤。
どちらも東京から離れた地方都市が舞台で、強く惹かれあう女友達同士で、最後には別れが待っている。
ナナコは「魚子」と書くし、「blue」を下敷きにしたのではないかな、なんて勝手に思っている。
ストーリー自体は全く違うのだけど、一人の女友達との強い繋がり、相手の抱える闇、そして辿り着く切なさ一杯の結末という点は同じで、どちらも私の胸をうつ。

最終的には、奇数章と偶数章は合流し、小夜子と葵の物語として終結する。

この小説には、日常どこででも起こるようなの小さな悩みがリアルに登場し、それを解決する為のヒントがたくさん散りばめられている気がする。
学生時代の、仲間はずれにされたくないという思い。
社会にでたあとも起こる陰口。
苦手な人との付き合い。
自分と違いすぎる人とどうわかりあうのか。
そして、何の為に歳をとっていくのかという疑問。

読み終わった後、誰もが何かを吹っ切れ、新しく歩み始める事が出来る作品だと思う。
私は感動して泣けました。

誰かに与えられた人は、同じように与える事ができる人になる。
その連鎖がたくさん起こったら、世の中はもっともっと温かくなるのにね。
そう思った。

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コメント

えー。ゆかちゃんが感動して泣ける作品って興味あるわー。
読んでみようかな。

「誰かに与えられた人は、同じように与える事ができる人になる。」
そうね。そうね。
私もいつも周りのたいせつな人に与えてもらっているから、与えよう!って思うものな。
ちゃんと与えているかどうかはわからないけれど。
与えなきゃ~って思うもの。
そういうの大切かも。

投稿: snow | 2007/12/15 01:13

私結構涙もろいのよね。
他の書評でも、泣けましたってかいたやつあったな。
どれだっけ。。。

私たちくらいの年齢だからこそ、じんとくる話だと思うよ。
この本に角田さんのサインもらったんだ♪
おすすめ。

この本にでてくる人たちが変わっていく様は、まさに与えの連鎖なんだよね〜。
大事だよね。

投稿: *yuka* | 2007/12/15 12:17

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受信: 2007/12/12 16:50

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