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2007/10/05

空中庭園 / 角田 光代

51bd2y8wghl_aa240_「空中庭園」
★★★★☆
角田 光代

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「何ごともつつみかくさず」をモットーにしている家庭、京橋家を舞台にした話。
「ダンチ」と呼ばれる巨大マンションに生活する、パパ、ママ、長女マナ、長男コウの4人家族。
近所には典型的郊外型巨大ショッピングモール「ディスカバリー・センター」があり、ここに生活する人々は家とディスカバリー・センターの往復で一日を終える。そんな街。
そんな4人家族と、少し離れたところに住む母方のおばあちゃん、パパの浮気相手でありコウの家庭教師であるミーナの6人それぞれの視点で一章ごとに語られる話。

「秘密をつくらないこと」をモットーにしているだけあって、長女のマナが自分はどこでつくられたのかと聞いたら母親は恥ずかしがりもせず「ホテル野猿」だと言う。
なんだその名前はって思うかもしれませんが、これ実在するホテルです。
大学生の頃、友人と車でどこかへ向かっている時に「ホテル野猿」っていう看板を見て激しく笑った記憶が・・・。
いくらなんでも野猿はないでしょうって。
その野猿を冒頭に持ってくるセンス、素晴らしい。

タイトルにもなっている「空中庭園」とは、ママが家庭がうまくいく為には必要不可欠だと信じて植えているベランダの植物たちのことだ。いわゆるベランダガーデニングが空中庭園とは言い得て妙な気がする。バビロンの空中庭園がそもそも庭園の各テラスに様々な植物が植えられていたものだからだ。

あと印象に残ったのは、祖母がいう「人が死ぬ時はもっとも古い、埃をかぶっていたような記憶が無声映画のように静かに流れるんじゃないか」という話。

それぞれの視点で語られる度に、秘密はないと言っていながら各々がしっかり秘密を持っていることが暴かれていく。でも秘密だけじゃなく、ある出来事や思い出に誤解があったことなどもわかっていく。
秘密がないと言いながら実は秘密だらけでバラバラなようにみえた家族、でも最後に絶対的な結びつきを感じることができて救われる。

それにしても、私こういう郊外型巨大ショッピングモールっていうやつも苦手なんですよね。
休みと言えばみんなこぞってショッピングモールに行く、というかそれ以外には行くところがないような地域。
前回書いた「地上八階の海」では新興住宅地だったし、角田さんはそれらを典型的な家族を書くのに必要な地域として出しているのか、それとも私と同じようにそういう地域が苦手てあえて出しているのか・・・。

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