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2007/09/14

人のセックスを笑うな / 山崎 ナオコーラ

41290xkksvl_aa240_「人のセックスを笑うな」
★★★★☆
山崎 ナオコーラ
第41回文藝賞受賞作

書籍の詳細情報はこちら
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39歳の美術専門学校講師のユリと、19歳の生徒磯貝くんの恋物語。

私がわりと好きな山崎 ナオコーラさんのデビュー作。
実は、あらすじだけを捉えると陳腐な作品である。
ユリに絵のモデルを頼まれた磯貝くん。モデルをするうちに惹かれ合う2人はセックスをする。そして不倫が始まり、2人はユリの旦那に隠れてユリのアトリエで逢瀬を重ねるが・・・という話。
これだけだと、昼のドラマ?というくらいどろどろの安っぽい劇を想像してしまう。

でも、この作品はそうではない。

ぶらぶらと垂らした足が下から見えるほど低い空を、小鳥の群れが飛んだ。生温かいものが、宙に浮かぶことが不思議だった。

こういう視点、鳥を生温かいものって捉えて、それが飛ぶ事の不思議を問う。それがナオコーラさんの作品の強い魅力だと思う。

そういう、はっとさせられる新鮮な表現に加え、「ああ、わかる、わかる」という感覚の小さなエピソードの繰り返し。
小さな出来事が、表現が、登場人物のキャラクターが、
ちくちくと寄り集まっていい曲線に形づくっている。
彩っている。
そんなかんじの話。

一寸とぼけたユリちゃんはモデル代として何故かタクアンをくれるし、
ユリちゃんの旦那の猪熊さんは不倫相手の磯貝くんににこにこと料理を振る舞い恵比寿にあるビール池の話をする。
この2人がどこか飄々としているから、不倫なのに悲劇もないし、どろどろにもならない。

タイトルのように、人にセックスを笑われるような場面があるわけではない。
客観的にみたら普通で時にはみじめで陳腐でも、当人同士は一生懸命愛を育んでいるんだからいいじゃないかっていう意味かな。

この作品の雰囲気は好きだったのだけど、終わり方はいまいちだった。予想外でもなんでもなく、本当に平凡な終わり方。
浮き世でランチ」も終わり方が好みじゃなかったのよね・・・。
惜しい。

永作博美さんと松山ケンイチさん、蒼井優さん、忍成修吾さんで映画化するそうで、観るのが楽しみ。
原作では、磯貝君を好きになったえんちゃんってちょい役だったのだけど、蒼井優さんがやるということは映画ではストーリーが大幅に変わるのかな。
***
※映画も観ました。感想は
こちら

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