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2007/09/12

キャンディーの色は赤。 / 魚喃 キリコ

41b1jngizl_aa240_「キャンディーの色は赤。」
★★★★☆
魚喃 キリコ

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血液を思わせる、真っ赤な滴が垂れた装丁。
前作「Strawberry shortcakes」が「かわいくて甘くてもろいもの」だったのに対して、
赤いキャンディーは武装している。
血を思わせるその色で、硬さで。
でも、口にいれれば甘いし、歯をたてれば砕く事だってできてしまうもの。溶けてしまうもの。

短編集。
内容は、いつもの魚喃さんらしい「浮気」「別れ」「恋愛の始まり」「片思い」「苦しみ」などの要素がつまったもの。
魚喃さんの年齢に従って登場人物の年齢も上がり、
近所の小学生の子を娘のようにかわいがる人、
好きな人に合わせてしていた無理をやめた人、
毎日家庭のご飯をつくっていて恋するドキドキから遠ざかっている人、
二十代前半の男の子をかわいいと思う人・・・などなど。

魚喃さんの漫画は、その「間」が最高に好き。
一瞬を切り取った構図、画面は白くてもみっちりぎゅっと濃いものが詰まっている。

セリフもなく、小説と漫画の中間のような短編も多い。
以下、「7月4日、8月12日、東京というジャングルがあたしは好き。」より一部抜粋。


8月12日。

濃い黄色のモンシロチョウが、
歩くわたしの目の前を
上から下や右から左に、ひらり、ひらり。

なにかに似ていると思ったら山吹。
山吹の花びらの濃い黄色、が
ゆれるさま。
あたしは山吹(特に平たく、それこそ
モンシロチョウみたいに咲く種類の
ほう)が好きだ。

あたしはまだ恋をしている。

真っ青な空を舞うモンシロチョウと恋心。
こういうの好きだな〜と思う。

何歳になっても、恋して、悩んで、傷ついて、寂しくなって、また出会って・・・前へ進む。
身体全体でぶつかって、もがいて、血まみれになっていた若い頃と違って
歳をとると、もっと静かだ。血だって、わずかに滴るくらい。
でも、若い頃より物わかりがよくなっちゃって「諦めること」も増える。
その代わり同じ「辛い」でも、経験が解決し、新たな知恵を授けてくれるものだ。


新しい生活は、
とつぜんに始まる。

個人的に好きなのは「恋のはじまりにすべて未来があるわけじゃない。」
小さな飲み屋さんの21歳の男の子に恋をしちゃった主人公が、酒飲んで煙草スパスパ吸いながらその男の子とくだらない話をする・・・という話。
魚喃さんの描く登場人物によくいる、「恋を悟られない為に、あえて男っぽく粗野にふるまう女子」の図。
10歳とか歳はなれていたらなおさらだよね・・・そんな主人公がかわいい。

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コメント

わわ。これ読みたい!
「キャンディの色は赤。」ってタイトルが
なんか潔さみたいなものを感じさせるわ。

最近、アナタのblog読んでいると、
たまに、感性がシンクロする。
草食べて生きているからかな。

投稿: snow | 2007/09/15 01:04

感性のシンクロ、素敵だね。
繋がっているってかんじ。
そうそう、同じもの食べていると似てくる部分はあるかも!

投稿: *yuka* | 2007/09/17 19:52

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