« 時をかける少女 | トップページ | 沖縄の猫 »

2007/07/09

ストロベリーショートケイクス

「ストロベリーショートケイクス」
2006年
監督: 矢崎仁司
原作:魚喃キリコ
出演:池脇千鶴、中越典子、中村優子、岩瀬塔子

HP
★★★★☆
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
29cinemastrawberry魚喃キリコのコミック『strawberry shortcakes』を映画化したもの。
4人の女性がそれぞれ苦しみ、もがき、強く生きる物語。
私は原作がとても好きなので、映画評と言うよりも主に原作との比較にしてみた。
以下内容にふれていきます。

★里子(池脇千鶴)「恋したいなあ‥」
里子は原作から一番設定を変えられたキャラだ。
原作ではレンタルビデオ店か何かで普通にアルバイトしているのだけれど、映画では過去に大失恋を背負っていて、今はデリヘル店の電話番。一番下っ端というかんじで、デリヘル嬢たちにそれなりに気を使っている。また、老齢の母親が一人いて、その老人ホームのお手伝いもしたりする。
原作の里子は、恋に恋しながらも一人でいられるどこか冷めた女性で、告白して来る男をすぱっとふってしまったりもするし、後輩の恋の悩みを聞く姉御的一面もある。そんな里子の凛としたところとか、豪快なところが面白くて好きだった。
映画の里子はにこにこ元気な子で、どこか垢抜けない未成年って感じ。また、姉御というよりは妹って感じだ。
それなのに、部分部分原作の里子のエピソードが挟まれるのでなんだか違和感。
池脇千鶴だと雰囲気が幼すぎたのでは・・・。
原作と切り離してみれば、いいキャラなんだけどね。

★秋代(中村優子)「‥楽しいって、大切なことですか?」
原作ほぼそのままの設定の秋代。デリヘルの一番人気でありながら、専門で一緒だった菊地に片思いをしている。
映画だけの特徴は、棺桶で寝起きしているところ(笑
惚けたら自殺すると言っている秋代らしくて、強引だけど面白い。
ちょっと違和感があったのは、電話で菊地を呼び出すシーン。
原作で「おいーっス」と呼びかける秋代は、精一杯男っぽく話していると思うのだけど、映画の秋代はなんか普通。もっと気張ってもよかったのではないかなぁ・・・。だって、秋代が男っぽく演じる事で「私はあなたに恋愛感情なんてないですよ、男同士のような気楽な友達ですよ」とアピールする大切な場面だと思うのだ。
あとは、お客に「チェンジしますか?」と言う時の秋代が、なんか媚びたような甘えた声をだしていて嫌だった。峰不二子的なフェロモンがあって欲しかったなぁ。媚びるだけでなく自信もあって、男が勝手に寄って来るっていうかんじの。スタイルはさすがによかったのだけど、なんかそういう意味での色気が足りない。
で・・・菊地が安藤政信なのは、ミスキャストではないだろか・・・。原作だと一重でクールな顔立ちで長めの髪の毛が柔らかそうな菊地がよかったんだけれど、スポーツ刈り?みたいな安藤政信が正直田舎臭くてガテン系で・・・秋代の気持ちがわからなかった。
秋代と菊地がセックスをするシーンも、なんか菊地はりきり過ぎだし・・・色々やり過ぎで原作の菊地のキャラとだいぶずれてしまっている。私は魚喃さんが描くあの目が一重のクールな男の子像が好きなので、がっかり。

★ちひろ(中越典子)「あたしにとっては、彼氏が神様かな」
ちひろは原作と映画の設定に殆ど差はない。結婚願望の強いごく普通のOL。
有名なイラストレーターとして仕事をする塔子を羨ましく思っている。
映画の方がより甲斐甲斐しい感じかな。男が脱ぎ散らかした服をさっと畳んであげたりするし。へ〜こんなことする女の子いるんだぁと思ってしまった。
原作のちひろは嫌な女と思ったのだけど、映画のちひろは中越典子さんの好演で憎めなかった。多分、原作ではちひろの意地悪さとあざとさが目立ったのだけど、中越典子さんの演技ではちひろなりにひたむきで一生懸命なところが伝わってきたからだと思う。
男が全てで、占いに頼り、一人で時間を過ごせず趣味も無い人生ってなんかすんごくつまらなそうなんだけど、実際そういう人って結構いるのかしら。
それにしても、ちひろの恋人永井もかっこよくなかった・・・。

★塔子(岩瀬塔子)「あたしを‥馬鹿にするなよ」
塔子も原作とほぼ一緒。ちひろと同居していて、名のあるイラストレーターで、恋愛と仕事のストレスから過食嘔吐を繰り返している。
役名と名前が一緒だし、ピアスのあき方なんかも魚喃さんの漫画の登場人物っぽい・・・と思ったら、魚喃キリコさんご本人だそう!
原作でも、おそらく自分自身を投影して描いたのが塔子なのだろうなと思っていたので、本人が演じるって面白い。過食嘔吐の場面もやたらリアルだったし。
ただ、原作で持った塔子のイメージと一寸違った。でも、作者自身なので映画のイメージは正しいはず。
おそらく、魚喃さんの絵柄と雰囲気で生々しさが淡々とした空気に変わっているせいでしょうね。
ただ、一仕事のあと上半身裸で寝るのは何故だ・・・腹冷えるから何か着なさい。
そして、痩せすぎているせいか一番最後の嘔吐シーンが幽霊のように見えて怖かった。

★それぞれの結末
結末は、ちひろが実家に帰るという部分以外は全て映画オリジナル。
原作では新幹線のホームで離ればなれになった塔子とちひろ。
映画では扉が閉まったせいで塔子も一緒に行く事になり、2人海辺でちひろの誕生日祝いのショートケーキに齧り付く。2人一緒のラストは原作よりも救いが大きくて好きだ。そしてこの、海辺て手づかみでショートケーキというのがたまらなく美味しそうだった。辛い辛いことを乗り越えた後の、かわいくてもろい甘いもの。
まぁ、タイトルをここで持って来たなという強引さもやや感じたけれど。逆に原作はショートケーキ自体は出てこなくて、女性たちを苺のショートケーキに例えた一冊。

妊娠をして田舎にマンションを買って引っ越した秋代。
お腹の子は菊地の子か定かじゃないけれど、きっと菊地の子と信じて育てていくのだろうな。
なんか一寸切ない。

4人を海岸で引き合わせ、さらになくされたはずの塔子の絵を里子が持って来ていると言うオチなのだけれど、なんか強引に4人を集めちゃった感じがしなくもない・・・。
4人の繋がりはもうちょっとさり気なくのほうがよかったなぁ。

結局、私の中では映画は原作を越えられなかった印象。
でもきっと、原作を知らずに観たらもっといい映画って思っていただろうなぁと思う。

そうそう、公式HP「いちごレポート」では、自分が4人のうちどのタイプかという診断ができる。
ちなみに私は塔子でした。
-------------------------------
塔子タイプのあなたは。。。
何事もそつなくこなし、天性の才能に恵まれている優等生タイプ。しかし、プライドが高いことが災いして、感情をうまく伝えることができない不器用な面も持ち合わせている。
-------------------------------
あなたは誰タイプですか?

応援のクリックお願いします

|

« 時をかける少女 | トップページ | 沖縄の猫 »

「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

やっぱり、原作を越えられないか。
まだ見ていないのだけれども、見ても私も同じように感じそうだ。

>男が全てで、占いに頼り、一人で時間を過ごせず趣味も無い人生ってなんかすんごくつまらなそうなんだけど、実際そういう人って結構いるのかしら。

世の中大半が、そうなのではないかな?
こう言っている私も、きっと一番近いのが「ちひろ」だと思う。

>それにしても、ちひろの恋人永井もかっこよくなかった・・・。

これって、加瀬亮だよね。
私、好きなんだけれども~。

投稿: snow | 2007/07/11 23:51

ちひろは恋愛のみに生きる!!ってかんじの人なんだよね。
結婚したら絶対専業主婦になりそうなタイプ。
snowは恋愛のみで生きていないし、ちひろよりよっぽど魅力的だと思うよん。
この作品の加瀬亮、なんか本当にかっこよくなかったよ(笑
役柄のせいもあるんじゃないかね。

投稿: *yuka* | 2007/07/16 15:04

カッコよくない加瀬亮。見たくなった~。

投稿: snow | 2007/07/17 00:28

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/158210/7090776

この記事へのトラックバック一覧です: ストロベリーショートケイクス:

« 時をかける少女 | トップページ | 沖縄の猫 »