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2007年6月

2007/06/30

ワタリガラス神話

Img_1459

先日横浜で撮った花の写真。
色とかちょこっと加工。

先日みた夢に雌の黒い鳥がでてきた。
見とれてしまうくらい美しい黒い羽を持った鳥で、しかも話をした。
あの鳥はなんだったのだろうと思い調べたところによると、黒い鳥はワタリガラスのよう。

世界にはいくつも「ワタリガラス神話」というものがあり、その中でワタリガラスは創世主として語られている。
といってもすごく熱心なキャラではなく、気まぐれに好き勝手やった結果世界ができちゃいました、というかんじらしい。
また、全てを見、全てを知ることを、アイルランドでは「ワタリガラスの知恵」というらしい。

ワタリガラスにおけるキーワードは「勝手気まま」と「知恵」のよう。
星野道夫さんという写真家は、ワタリガラスの伝説を求めてアラスカで素晴らしい写真を撮ったのだそう。不慮の事故で亡くなってしまったことが残念でならない。
ワタリガラス神話は調べれば調べる程奥が深そうで気になる。機会があったら本を読んでみようかな。
また、ロンドン塔のワタリガラスは、塔と英国の守護神として、とても大切にされているらしい。

もっとも、夢占いではカラスってよくないモチーフのようで「突然の疾病や災難」という意味があるらしい。
でもせっかくなのでいい意味にとることにして、創世主=私の人生にもまた新しい風が吹くということにしておこう・・・。勝手に前向きな解釈。
そういえばカラスって嫌いな人が多いけれど、私ちっとも嫌いじゃない。やっぱり一般的には「ゴミを漁るから嫌だ」「黒くて不気味」っていうイメージなのかしら。

それにしても美しい鳥だった。
自分の夢で、自分でも驚くくらい美しいものを見ることがたまにあるのだけれど、本当に不思議な気分・・・。

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2007/06/29

ホテル・アイリス/小川 洋子

30429606_1「ホテル・アイリス 」
★★★★☆
小川 洋子

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最近小川洋子づいている。
合間に違う作品も読んでいるのだけれど、率が高い。
そういえば書評を書けていないものが相変わらず多い。。。

海のそばにある寂れたホテル「ホテル・アイリス」
美しい少女マリは、うるさい母親が経営するホテル・アイリスで働く。
ある日、アイリスに宿泊した老人が商売女ともめごとを起こし、大騒ぎになってしまう。
その老人は罵詈雑言をわめく商売女にこう言った。
「黙れ、売女」
マリはその一言で彼にひかれてしまう。
偶然町で彼を見かけた時にマリは後をつけ、彼と会話をする。
彼は、町から遊覧船に乗ると行けるF島に住んでいた。
ロシア語の翻訳家をしているという彼。
今翻訳している小説のマリーという名の主人公とマリが重なって見えるのだという。
やがて翻訳家から手紙がきて、2人は再会する。
2人はF島で変わった形の愛を育んでいく・・・といった話。
以下内容にふれていきます。

小川洋子の描く「母親」は、大抵意地悪でわがままなど問題のある人間だ。
このホテル・アイリスにでてくる母親も例外でなく、マリに叱責するばかりで彼女の話を聞こうともしない。娘が言う事をきかなければ罰を与える。
その一方で娘の美しさを喜び、毎朝必ず娘の髪を結うという偏った愛情を見せる。
そんな母親の元で、萎縮しながら生活をするマリ。
また、母親とともにホテル・アイリスで働くおばさんは、マリの持ち物を盗む癖がある。彼女は大事な手紙をおちおち自分の部屋に置いておくことすらできない。マリはアイリスに安らげる場所が無い。

そんなマリにとって、翻訳家は憂鬱なアイリスから解放してくれる騎士のようなものだったのかもしれない。
鏡の国のアリスにおける、アリスと白騎士のイメージが浮かぶ。
・・・でも、紳士な顔は町で会っている時だけで、彼はF島で本当の姿を見せる。

「服を脱ぎなさい」

彼の命令が始まり、マリは全裸にされ床に押し付けられる。
彼はマリを言葉で、身体で、全て支配しようとする。
マリは、肉屋の倉庫にぶら下げられたにわとりのような自分の姿を確認しつつ、彼に逆らう事はできない。
マリと翻訳家は、SMともいえる形で愛を育んでいく。

マリが、翻訳家に自分を醜く縛られ、人間とは思えない扱いを受ける事を望んでいるのは何故か。
アイリスで息が詰まりそうになっている自分の輪郭を確認する為なのかもしれないし、退屈な日常に対して非日常は極端なものを望んだのかもしれないし、自分の見た目ばかりを愛する母親への復讐なのかもしれない。

翻訳家がマリに暴力的なことをするのは何故か。
大抵、パートナーを暴力行為で支配しようとする男というのは酷いコンプレックス持ちだったりする。
だからこそ、相手を完全に自分の支配下に置かないと安心できないのだ。
F島という、非日常のお城では王様でいられる翻訳家。
でも、日常である町にでればレストランで予約を断られてしまったり、町の人間に陰口をたたかれるような惨めな老人なのだ。

翻訳家には甥がいる。
舌に腫瘍ができたせいで舌を切除した過去があり、口をきけない甥は、ペンダントにいれた紙に文字を書いて会話をする。
マリとは違い、丁寧に優しく甥を愛する翻訳家。

最終的に翻訳家は亡くなってしまう。
でも、マリが「マリーという名の主人公が出てくる小説を翻訳したノートが欲しい」と警察に頼んでも、そんなノートは見つからなかった。そして、親しかった伯父が亡くなったというのに、最後まで甥は姿を見せない。
そこで、私は思った。
もしかして、翻訳家にまつわる何もかもが嘘だったのではないか?と。
マリーという名の主人公が出てくる小説なんて存在しなくて、むしろ翻訳家は翻訳家なんかではなくてただロシア語が好きな老人なだけかもしれない。自分は翻訳家であると嘘をついていたのかもしれない。
そして、甥はそもそも甥なんかではなく翻訳家の恋人のようなものなのかもしれない。
甥の舌を切ったのは翻訳家かもしれない。
マリの父親を殺したのは、暴行の前科がある翻訳家なのかもしれない。
翻訳家の妻はやはり翻訳家に殺されたのかもしれない。
・・・そんな風に、最後にでてきた一つの綻びを前に、今まで語られてきたことたちの真偽について考えをめぐらせてしまう。
つまり、読み終わってもさらに美味しい物語。

小川 洋子はやはり描写が美しく、独自の世界を確立させる技量がある。
でも、今回の老人が少女を言葉と暴力で支配することは私は好きとは言い難く、そして男に支配されることを喜ぶマリの気持ちもわかることができなかったので★を1つ減らした。
鞭で打たれて、恍惚の悲鳴・・・私にもわかる日が来るのだろうか・・・。

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2007/06/28

中華粥「謝甜記貮号店」(横浜中華街)

Img_1446横浜中華街にある、昭和26年創業の中華粥の有名店「謝甜記」。
その貮号店に行って来た。

いつも長蛇の列らしいのだけれど、たまたまタイミングが良くてすぐにはいることができた。
この日は猛暑だったので、ほんと長く並ぶ事にならなくてよかった・・・。
もっとも、並ぶ事になってもお粥なので結構回転ははやいのだとか。

貮号店は本店よりもお店がきれいときいていたので、貮号店にしてみた。
何故かテーブルにはサンタの顔が・・・と思ったら、謝甜記のマスコット?がサンタなのですね。

種類がたくさんあるので迷った末、私は鮮蝦粥 (えびかゆ)の中碗を注文。
あとは山東水餃子と翡翠水餃子が2つずつはいったものも注文。

Img_1445_1

これが鮮蝦粥。
お粥の見た目はみんな一緒。
具が底にはいっている。

お粥はだしがきいていて非常に美味しい。
生の米に乾燥貝柱、乾燥蛎、鶏をまるごと一羽入れて4時間も煮込んだものなのだとか。
そのままでも美味しいけれど、付属のたれをかけたり、ザーサイをいれたりして味を変えても美味しい。
海老もぷりっぷり。

水餃子の方もかなり美味。
このお店、きっと何の料理でも美味しいんだろうな・・・。

中碗で足りるかな?と思ったのだけれど、結構お腹いっぱいになった。
普通サイズだったら逆に食べ切るのが大変だったかも・・・。
近所にあったら通いたいくらい、美味しいお店。

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謝甜記貮号店
TEL:045-664-4305
住所:神奈川県横浜市中区山下町188-16
営業時間:10:00〜20:30(下記以外)
     10:00〜21:30(金土)
定休:水曜日
HP
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2007/06/25

カフェ「えの木てい」(横浜)

P_top_l横浜の異人館エリア山手方面にある「えの木てい
かつて外国人居留地だった山手に残る数少ない西洋館をカフェにしている。
200年以上昔のアンティーク家具をそのまま使っていて、居心地の良いお店。
お庭も美しい。

二階でテイクアウトのお菓子を購入。
私はここのチェリーサンドが大好物。
甘酸っぱいダークチェリーとなめらかなフレッシュバタークリームにさくさくとしたクッキーがアクセントになって、非常に美味しい。
六花亭のマルセイバターサンドの3倍美味しいと思っている。
Img_1461今回、マロンサンドも買ってみた。
高級マロンを使用したマロンペーストとマロングラッセがはいっていて美味しいのだけれど、やっぱり私はチェリーサンドが好き。

お菓子は美味しいのだけれど、今回店員の対応がいまいち。
営業時間内なのに「案内を制限しています」って言われたのだけれど、「申し訳ない」という対応ではなかったし。
席結構空いていたのになぁ。
あとは、入店しても気付く気配なし・・・。
お店の雰囲気が良くて、お菓子も美味しいだけに勿体ない。
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えの木てい
TEL:045-623-2288
住所:横浜市中区山手町89−6
営業時間:AM11:00〜PM7:00(平日)
     AM11:00〜PM8:00(土・日・祝日)
定休: 月曜定休 月曜祝日の場合,火曜定休
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2007/06/24

別館オープン

取るに足らない一寸した落書きを置く場所、「飴色色彩落書き館」をオープンしました。
頻繁には更新しないかもしれないのですが、よかったらご覧下さい。
入り口はこちらです。

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2007/06/21

FRIED DRAGON FISH(フライドドラゴンフィッシュ)

「FRIED DRAGON FISH」
1993年
監督: 岩井俊二
出演:芳本美代子、浅野忠信、酒井敏也
★★★★★
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
51j6fnf819l_aa240_データバンクのオペレーターとして相田の探偵事務所にやって来たプー・リンウォン。
トーマス・アーウィング博士の熱帯魚「ドラゴンフィッシュ」が謎の男トビヤマに盗まれたという事件を追うプーたち。スーパーレッドには一千万円の価値があるのだ。トビヤマの水族館を探していたプーは、熱帯魚の水槽に囲まれて暮らす不思議な少年ナツロウに出会う。ナツロウはトビヤマに飼われたプロのテロリストだった・・・という話。

フジテレビの深夜ドラマ「La Cuisine」の最終回スペシャルとして放映された作品。
私は、10年ちょっとくらい前の深夜にフジテレビでやっていた再放送をたまたま観た。本当に、つけっぱなしだったテレビにたまたま流れてきたのだ。
・・・正直驚いた。
当時、今ほど映画というものに関心が無かった私が、のめり込んでしまった。
その頃、浅野忠信は殆ど無名だったのだけれど「この存在感のある青年は誰なんだろう」と思った。
無機質な広い部屋の中で沢山の熱帯魚とともに暮らす、冷たい目をして淡々と話す青年。
それ以来、岩井俊二監督の作品を見続けている。
つまり、私にとってはこの深夜のテレビが運命の出会い。

ナツロウがクラシックを身体で聴く場面が好き。
たしかにクラシックって、フローリングに寝そべって目を閉じて聴くと気持ちが良いのだ。

ストーリー自体は、きちんとオチもあり面白い。でも、放映後に問い合わせが殺到したのはそれだけが原因ではないと思う。美しい映像、空気、音楽・・・50分の深夜ドラマとは思えない世界観。拙い部分もあるものの、さすが岩井俊二監督だなぁと思わせる作品。そう、これがテレビドラマとしてつくられたことに脱帽です。
ああ、魚のフライが食べたい。

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2007/06/19

麗しのマリア・カラス

412kbtuxssl_aa240_歌に生き、恋に生きたマリア・カラスの声は澄んでいるのに力強く震える。
頭の中がすーっとクリアになるような歌声で、下手な頭痛薬より効きます。
言葉にできない苛々や不安感がある時に大音量で聴くべし。
勿論、そうじゃない時にもおすすめ。元気がもらえる。
オペラ嫌いの人にはおすすめできないけど。

そういえば、マリア・カラスは若い頃肥満体型だったのに、歌をうたうなら美しくなければとダイエットし、抜群のプロポーションになったのだとか。
素晴らしい・・・。

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2007/06/18

KATAN DOLL fantasm/天野可淡

Katan_f_1「KATAN DOLL fantasm」
★★★★★
天野可淡
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
球体間接人形作家、故天野可淡さんの二冊目の作品集。

「KATAN DOLL」が、暗い中で佇んでいる人形たちとすれば、こちらは意志を持って動こうとしている人形たち、愛そうとしている人形たちというかんじだろうか。

下記、一部抜粋。

アーティストとは成長できなかった人、
と辞書を書きかえるべきかもしれません。
しかし成長できなかった人の特権として、
私は作品の中で自意識を分解し
新たな原子でそれを再構成することができます。
<彼>が一日目に光と闇を作り、
二日目に天と地を作り、
最後に私たちを作ったように、
アーティストも自らの光と闇、
自らの天と地、
そして最後に自らの神経をときめかす者たちを
作ることができるのです。

”私の瞳は銀色の湖
しばし泳がせてみませんか
あなたの退屈な時間を
そして残るは
悪魔の頃のあなたのぬけがら”

人は皆、成長とともに感性を丸く平坦にしていくものだ。
子供の頃のように些末なことにいちいち感動していたら、社会生活が成り立たない。
丸く平坦に満たされた人は、それを維持することが当たり前で新しいものは何も生み出せない。

でも、アーティストは丸く平坦にならない。
どこか歪で、どこか足りないから、足りない部分を埋めようとして何かを生み出す。

どこか歪で、どこか足りないのは、見方によっては不幸なのかもしれない。
でも、それでも、何かを生み出さずにはいられないのだと思う。
可淡さんは、何かを生み出すために生まれて来た人といっても過言ではないのかもしれない。
その研ぎ澄まされた感性と意志には敬服する。

関連記事:
KATAN DOLL/天野可淡
天野可淡さんの本復刊

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2007/06/17

KATAN DOLL/天野可淡

Katan「KATAN DOLL」
★★★★★
天野可淡
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
球体間接人形作家、故天野可淡さんの人形作品集。1989年に出版されたもの。
可淡さんの作品集は他に1990年に「KATAN DOLL fantasm」、1992年に「KATAN DOLL RETROSPECTIVE」の3冊がトレヴィルより出版されている。

トレヴィルが倒産した際に絶版となり、3冊とも入手困難だった。私はどうしても欲しかったので3冊とも手に入れたけど。トレヴィルは低価格でいい本ばかり扱っていたので、倒産の打撃が大きかった人って結構いるんじゃないだろか。私も未だに古本屋さんでトレヴィルの本を見つけると全て集めたくなってしまう。
なお、1998年には、トレヴィルの出版精神を受け継いだ「エディシオン・トレヴィル」が創業しているが、トレヴィル時代の本の再販をしているわけではない。

最近やっと復刊ドットコムで復刊が決定したらしい。復刊ドットコムでは7年前には投票がはじまっていたはずなので(私も投票した)、結構時間がかかったと思う。

可淡さんの作品との出会いは高校生の頃。
その世界観に私は言葉では言い表せない程大きな影響を受けている。
デザイナーに、ものをつくる人になろうと思った時に、私は可淡さんの人形をモチーフに鉛筆でがりがり絵を描いていたことが思い出される。
人の心の奥底にある忘れていた何かをずるりずるりと引き出してくれるような、自分の中に棲んでいる未知の感覚と出会えるような、そんな作品集。

可淡さんの作品集は、写真だけではなくて文章も素晴らしい。
下記、一部抜粋。

しかしながら、人間とはエゴイスティックな生き物です。裏切りの無い、安心の中での愛には、いつか欠伸をします。愛するだけの一方的な愛にはいつか疲れ、その対象を置き去りにするのです。そして彼女たちはいつしか忘れ去られ、蔵の中に捨てられてしまいます。それは人形たちにとって、死よりも恐ろしい出来事です。そんな悲劇が起こることの無いように、私はあえて彼女たちのガラスのリボンを解きます。人に愛されるだけの人形ではなく、人を愛する事のできる人形に。常に話しかけ、耳をかたむけ、時には人の心に謎をかける人形に。
注意深く、彼女のガラスのリボンを解くのです。それが私の仕事だから。

私もいつか、「それが私の仕事だから。」と言えるものに出会いたい。

関連記事:
KATAN DOLL fantasm/天野可淡
天野可淡さんの本復刊

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2007/06/16

梅雨にはいりましたが

Img_1269梅雨にはいったと思ったのに、あっという間に梅雨の中休み?
私は雨って街中の埃とか雑音とか嫌な物を流してくれる感覚があって、すっきりするからわりと好きなんだけれど、お出かけ時に履こうと思っていた靴が雨の日にはNGのやつだったとか、買い物がたくさんあって重い荷物を持ってハシゴしないといけない時なんかはちょっと憂鬱。

あとは、街歩きをしたい時や旅行の時。
傘という荷物が邪魔だったり、荷物が濡れてしまったり、足下が気持ち悪くなって来たり・・・。

今日からちょっとの間他県にいる友達の家に遊びに行くので、この中休みがとてもありがたい。

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2007/06/13

帯結びと季節の着物

Img_1393_1エルスールで買った鉢植え。だいぶ前に買ったのだけど、今でもちらちら花が咲いてかわいい。

ちょくちょく着付け教室に通っているのだけれど、とりあえず普段用の着物であれば自分で着られるようになった。
勿論、ベテランの人に比べると、着付け方がまだまだなのだけれど・・・。

私はまだ半幅帯しか帯結びは教わっていないのだけれど、「そよ風」と「割り角出し」は覚えた。
「そよ風」は蝶結びをアレンジしたかわいい結び方で、「割り角出し」は帯締めをできるもので「角出し」風。

6月は単衣(ひとえ)という種類を着るのだけれど、7月・8月の盛夏は薄物(うすもの)。絽(ろ)は6月末に着ても良いけれど、紗(しゃ)や麻は7・8月。9月は単衣にまた戻り、10月から5月までは袷(あわせ)を着る。
私のような着物初心者は、今の季節が一番困る。とりあえず、着付け用に近所のリサイクル着物のお店で安い単衣を買ってあるので今はそれでお稽古中。単衣とは裏地がついていない着物で、今の時期は長襦袢も夏用の物を着ている。
来月からはとりあえず浴衣でお稽古しようかな。

お教室の行き帰りは着物でぷらぷら。
着物ってだけで、何か嬉しいのよねー。

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2007/06/12

ブルース/花村萬月

51xpmy706bl_aa240_「ブルース」
★★★★★
花村萬月

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
横浜の寿町で、日雇労働者が宿泊するための「ドヤ」という簡易宿泊所で生活する村上は、ヤクザの徳山の元で巨大タンカーのスラッジ清掃の仕事をしている。
刺激臭がひどく、身体に付着すると一週間は落ちないスラッジの清掃。有毒ガスが発生する、十五階建てのビルと同じくらいの深さのタンクの底。命がけの作業であるスラッジ清掃は、まさに社会の底辺とも言える仕事である。

この村上とヤクザの徳山、それにブルースを歌うハーフの歌姫綾の物語である。

物語の冒頭で、スラッジ清掃をしていた崔が亡くなる。
その亡くなり方が、非常にグロテスクである。
崔はタンクの底に落下したうえに、バッタ打ちの熱湯で茹で揚げられてしまうのだ。
私はここの描写で、一気に食欲が失せた。

また、アンコたちを仕切るヤクザの徳山は、津田越前守助広(つだえちぜんのかみすけひろ)という日本刀でアンコたちを脅すという恐怖政治のようなことを行っている。気に食わない者がいたら、指や腕をすぱっと落としてしまうのだ。

海上にある、孤島とも言える巨大タンカーの中で行われる暴力。
逃げ場所はない。
読んでいる自分も同調し、読み始めは気分が塞ぎ息苦しかった。

だが、これはただの暴力小説ではない。
読み進めるうちに、登場人物たちが抱える闇の深さに、嫉妬や愛情の大きさに、人物造形の濃さに、飲み込まれてしまうのだ。550ページの長編なのだけれど、どのページを切り取っても濃いってすごい。

同性愛者の徳山の愛情表現は「暴力」
村上を愛するあまり、村上と仲良くする崔を殺してしまうくらいの愛情の強さ。
感情の持って行き方が下手で不器用な徳山の哀しみはどれだけ大きいのだろうと考えると、胸に詰まる。
一番切ない登場人物だ。

綾は、美しすぎるが故の孤独を抱え、ハーフであることの劣等感を根底に漂わせている。
そんな綾だからこそ、人の心に響くブルースが歌える。

村上は、もともとはブルースミュージシャンを目指していた才能ある青年だった。
夢を諦め、音楽を手放し、寿町で日雇い労働者に身をやつすようになったのだ。
シカゴのゲットーと、横浜の寿町の共通点。
綿畑できつい刺で手を血まみれにしながら綿つみをした黒人たち。
村上は、自分の檻をコトブキに求めることで、心の底ではブルースを探し続けていたのかもしれない。

誰もがそれぞれのかたちの檻を持ち、苦しむのが人生。
でも、その苦しみを解放して生きていく糧になるのが「ブルース」である。
3人分の人生と3人分の愛の形が凝縮されたような、傑作小説だと思う。
小説ではとかく陳腐になりがちな音楽の場面を、非常に美しく深く描写できているところも素晴らしい。
読後には、実際には聴いていないブルースの余韻が残り続ける。

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2007/06/11

まだまだ元気、薔薇の花。

4先日の薔薇がさすがに草臥れてきたのか、茎がぐんにゃり折れて花が下を向いていた。
まだ枯れていないけれど、花瓶に挿しているのもかわいそうだなぁと思って、花のすぐ下で切って、浅い硝子の器に浮かべてみた。
お、なんか蓮みたい。
ぐんにゃり顔が見えなくなっていた花だったのに、まだまだ飾っておけるのが嬉しい。

すごくきれいに咲いてくれた愛着のある花だったので、この花の写真を一寸加工してみようかなぁなんて思っていじっていたら、色を変えるだけにとどまらず勢いでプロフィール用の画像ができました。
ページ右上の画像です。
ナチュラルな写真もいいけれど、ちょっと加工してみるとまた違う表情で面白い。
テーマは薔薇で和でちょっと懐かしい感じ。

だったら、このブログのタイトル用の画像にすればよかったのかもしれないけれど、ココログの管理がいまいちよくわからない。タイトル画像だけ変えるのってどうやるんだろう・・・?本文とかはテンプレートをそのまま使いたいし。うーん。

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2007/06/10

映画評一覧ページ

映画評一覧ページ追加しました。

右側、書評一覧の下です。

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2007/06/08

アンティーク振り子時計

Photo_26一年くらい前に、西荻の骨董品屋さん「トライフル」で購入した振り子時計。
トライフルは、小さいお店ながらも振り子時計の種類が豊富。
購入時には3つくらいで暫く悩んだ思い出が・・・。

文字盤は昔懐かしいセルロイド。
振り子のところの窓が、普通の硝子とダイヤ硝子の2パターンなところが何ともかわいい。
針の形も素敵。

横から中の仕掛けが覗けるのも面白い。
古いものなので一週間に一度は巻いてあげないといけないのだけれど、たまに忘れてしまって止まってしまう。・・・ごめん・・・。

外で振子時計があるとついつい見ちゃうのだけれど、「やっぱりうちの子が一番かわいい」とか思っちゃうくらいお気に入りの品。

そういえば、これを購入した時にもらったミントは、一度枯れかけたものの持ち直して、また元気に育ち中。

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2007/06/07

カフェ「それいゆ」(西荻窪)

Img_1317西荻の「それいゆ」は、昔ながらの喫茶店。
でも昔ながらといってもただ古いだけではなくて、珈琲は水出しの美味しいものが飲める。
一人でぷらっとはいれる居心地の良い店。

たまに、むしょうに食べたくなるのがこの「鉄骨パスタ」
ほうれん草がこれでもか!というくらいたっぷりはいっていて、じゃことベーコンと玉葱との相性がいい。
そして、何故か紅生姜が合う。

パスタは、他はナポリタンなんかも美味しいです。

Img_1326お持ち帰りしたケーキ「パンプキンタルト」と「ザッハトルテ」
詰めるのがいわゆるケーキの箱じゃなくて、紙袋なあたりがかわいい。

パンプキンタルトは、これぞかぼちゃのタルトと言いたくなる素朴で美味しい味。
ザッハトルテは、普段ザッハトルテを食べないのでよくわからないのだけれど、しっかり重たい。チョコレートブラウニーのような食感。
一個完食は結構大変なくらい。でもやっぱり素朴で美味しい。

本当はお店で食べたいのだけれど、いつもご飯を食べちゃうとデザートに到達できないのよね・・・。

関連記事:西荻それいゆのチーズカレー

=============================
それいゆ
TEL:03-3332-3005
住所:杉並区西荻南3-15-7
営業時間:10:00〜23:00
定休: 無休
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2007/06/06

アンティーク山本商店と小瓶

P1010178今日は出掛けたついでに東北沢にある「アンティーク山本商店」へ。
キッチンに置く小さめの棚が欲しくて地下から二階まで見てみた。

茶系のモールガラスのとか、ダイヤガラスのとか。
はたまた小振りのアンティークのケビントか。
そんなかんじのものを探していたのだけれど、気に入る物は大きすぎて結局いいものはなかった。

山本商店は、数が多いのはいいのだけれど、所狭しと積み上げられているので見るのが大変。
人とすれ違えないし。
外国人のかなり恰幅のいいおばさんたちが見に来ていたけれど、通れたのかなあの狭い通路を・・・。

東北沢って、駅前がなんだか寂しい。
探索したらいいお店とかあるのかな。

P1010180_1山本商店で購入したアンティーク硝子小瓶。

こういう茶色の瓶やぽってりとした透明の瓶ってなんか好き。
そもそも硝子好き。

アイビーでもちょっと切って挿そうかしら。

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2007/06/05

六月の紫陽花

P1010179_1帰り道、紫陽花がたくさん咲いている家があった。
梅雨の季節に、何ともぴったりな色合いで咲くよなぁとつくづく思う。
澄んだ涼やかな青紫。

「あじさい」の名は、「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」が訛ったものだという説があるらしい。集真藍っていう言葉が聞き慣れないけれど、なんだか素敵な言葉。

花言葉は、
「移り気」「高慢」「辛抱強い愛情」「元気な女性」「無情」
だそう。
移り気っていうのは、花の色からきているのでしょうね。

紫陽花の名所といえば鎌倉?
一面の紫陽花を観に行きたくなった。

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2007/06/04

薔薇と練り香水

2_63_3

今うちの洗面台に飾ってある薔薇。
先日、近所で安かったので一輪だけ購入したもの。
最近うちの猫たちは、何度も言って聞かせた甲斐があったのか、「花はママの大事な物」と認識してくれたようで、齧るという暴挙には及ばなくなったような。
左は購入直後、右は段々開いてきた、今朝の薔薇。
光の加減や向きもあるけれど、絶対に購入時よりもぴーん!とした気が。
買ってから花が元気になってくれると、一寸嬉しい。


Img_1354_2薔薇繋がりで・・・ロクシタンの薔薇の練り香水。
指先にとって手首や首にちょんちょんってつけると、ほのかに薔薇の香りが漂って好き。
ふわっと幸せ。
和柄の着物用に、和の香りの練り香水も欲しいなぁ。

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2007/06/03

完璧な病室/小川 洋子

412p6abq48l_aa240_「完璧な病室」
★★★☆☆
小川 洋子

書籍の詳細情報はこちら
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
表題作「完璧な病室」の他、海燕新人文学賞受賞のデビュー作「揚羽蝶が壊れる時」、「冷めない紅茶」「ダイヴィング・プール」を収録。

◆完璧な病室
21歳の若さで不治の病で入院する事になった、余命わずかの弟。
主人公は、弟の入院をきっかけに急に弟への強い愛情を感じはじめる・・・といった話。

この作品は、病室が舞台になっている。
清潔で生活感が皆無の病室を好む主人公は、弟のお見舞いに病室に来ていることが何よりも幸せである。
病のせいでぶどうしか受け付けなくなった弟がぶどうを食べる様は美しい。透き通った指にうっすらと紫の果汁が染みている様子がはっきりとイメージできる。
保健室のベッドってなんでこんなに心地いいのだろうという感覚に似ている。

主人公は、病んでしまって家を正常に保てなくなった母親のせいで、生活感というものを嫌悪し「生活ってうすのろで幼稚で汚らわしい」と思っている。
だから、弟が食べるぶどうがまるで仙人が食べる霞のように神聖なのに対して、他の食べ物の不味そうな事。例えば、夫が食べるビーフシチューを主人公はチョコレート嚢胞の手術の時に見た血液が腐敗した色にそっくりだと思っていたりする。また、主人公の母親が庭に放置したケーキには、大量の蟻がたかっている。
妊娠カレンダー」もそうなのだけれど、人間の「食」の醜さは小川 洋子にとって普遍的なテーマの一種なのだろうか。

変性や腐敗を含んだ実生活に対して、弟との思い出は無機物のように清らかでガラス細工のようにどこまでも透明でひんやりと美しい。

「完璧な病室」の主人公の亡くなった母親と、「ダイビングプール」の母親の描写は似ている。唇を虫に例え、喋る事に対する嫌悪感を強く表している。著者にとっての母親像がそうなのだろうか。

◆揚羽蝶が壊れる時
痴呆症の祖母を施設に預けた主人公が、ずっとそれを後悔し、おかしいのは祖母ではなく自分なのではないかと悩む話。自分と祖母、現実と非現実、内部と外部といったものの対比。例えば、白い画用紙に黒い丸があったとして、それは黒い丸が描かれた絵なのか白くて黒い丸い穴のあいた形が描かれた絵なのか?というようなことを悩むような話。(作中にはこんな例えはないです、イメージです)
デビュー作だけあって、全体的にかたい印象。
主人公の彼が詩を書き、その詩の内容を主人公に語ったりするのだけれど、その部分が冗長かなと思う。揚羽蝶というモチーフをもっとうまく使えたらよかったのにと思う。タイトルの美しさに対して内容にちょっと不満が残る。

◆冷めない紅茶
主人公はサトウという恋人と同棲しているのだけれど、どこか嫌悪している。
同級生のお通夜の帰り道で再会したK君とその奥さんの清らかさにひかれ、何度も訪問する話。
このK君の家というのが時間を感じさせない家で、とても不思議な夫婦である。
実は母校の図書館で起こった火事でK君とその奥さんは亡くなっていたのではないかという気もするけれど、確証はない。
K君がいれてくれたいつまでも冷めない紅茶が象徴するように、時間軸の歪んだ感覚がなんとも不思議な話。
注意して読んでみると、最後にK君の家から帰る時の風景と、最初に同級生のお通夜から帰る時の風景が・・・。
ああ、だから洋服の色を気にしたのか。なるほどと思う。

◆ダイヴィング・プール
舞台となっている教会と孤児を預かるひかり園は著者の祖父が営む教会とその隣にあった生家がモデルとなっているらしい。孤児を預かる施設をやっていたかどうかは定かではないけれど。

そういえばこの話の舞台と「完璧な病室」のS医師の家庭環境は同じである。
両親が孤児院を営み、孤児たちを平等に愛する為に自分の子供も孤児たちと同じように育てる・・・という。
その結果、いずれどこかの家に引き取られて行く孤児たちとは違い、永遠に孤児のままの主人公は愛情不足になってしまっている。その為、レイ子にわざと聞かれたくないだろうと思う質問をしたり、幼いリエに虐待を加えたりする。この底意地の悪さって、山本文緒作品に通ずるところがある気がする。愛情に飢えた末の身勝手さと残忍さが巧みに描写されている。
この作品も極端なもの二つが対照的に存在している。
主人公が嫌悪するひかり園に対して、主人公が純を見る為に通うプール。


「愛情不足」「嫌悪する日常」「癒される完璧な場所と人」これら3つがすべて要素として存在する作品集だなと思った。でも結局、完璧な物は永遠ではない。
「完璧な病室」「冷めない紅茶」「ダイヴィング・プール」の3作は芥川賞候補となったらしい。
「完璧な病室」「冷めない紅茶」あたりは、昨今の芥川賞受賞作よりもレベルが高いのでは?と思ったりする。

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2007/06/02

妊娠カレンダー/小川 洋子

18950714「妊娠カレンダー」
★★★★☆
小川 洋子
第104回芥川賞受賞作

書籍の詳細情報はこちら
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表題の芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」の他に、「ドミトリイ」「夕暮れの給食室とプール」を収録。
以下内容にふれていきます。

◆妊娠カレンダー
日付と妊娠の周期で区切って進んで行く。
例えば
十二月三十日(火) 六週+一日
といったかんじ。
内容を知らずにタイトルを見たら、多くの人が「妊娠した人の平和な話」だと思うだろう。
でも本作は、どこかに異物がつかえたような違和感と心地の悪さと妊娠の醜い面、そして姉妹の隠れた憎悪がちらちらと見えるような作品である。だいたい、作中に「シャム双生児」という言葉が二回もでてくる妊娠話が平和なわけがないのだ。

主人公は姉夫婦と同居している。
食事をつくるのは主人公の役目だけれど、姉はいつも偉そうに食事の文句を言う。

この話に出て来る食べ物は、どれも不味そうに描写される。
キイウイの種子は小さな虫の巣。
グラタンのホワイトソースは消化液で、マカロニは消化管。
口の中であの空洞がぷつ、ぷつ、って切れる時、わたしは今、消化管を食べているんだなぁという気持ちになるの。
なんて言われると、口の中にマカロニという名の消化管をいれて噛み切る様子を想像しちゃって、食欲が失せる。
美味しく健康的な食事をしない彼女らはきっと、本当に心を開いている家族ではないという意味なのだと思う。

また、主人公はバイトで出向いたスーパーでは「食べ物を捜す為だけにこれだけ多くの人が集まる事の不気味さ」を考えている。その一方、つわりが終わった姉の異常な食欲は主人公の目に醜くうつる。
人間にある「食欲」という欲求を客観的に見た時の気味の悪さは、どこかシュバンクマイエルを思い起こさせた。

主人公は、表向きではつわりの姉の為に姉でも食べられる物がないかと考えたり、食料の匂いがでないように努力して自分の夕食は庭でとるなど献身的な妹である。
しかし、スーパーでもらったアメリカ産のグレープフルーツでジャムをつくるあたりから主人公に変化が訪れる。
防カビ剤PWHが塗布されたグレープフルーツは、染色体そのものを破壊する毒物である。
それを知っていながら、主人公は毒物たっぷりのジャムにがっつく姉を止めない。
そればかりか、姉の横で
「PWHは胎児の染色体も破壊するのかしら」
などと涼しく考えている。

それ以来、主人公は毎日アメリカ産のグレープフルーツで大量のジャムをつくり、姉は鍋をかかえてまるでカレーライスでも食べるかのようにジャムを平らげる・・・ということが繰り返される。
主人公は、染色体を破壊する様子を思い描く。

蛍光灯の灯りを受け透明に光っているジャムの滑らかさが、化学薬品の冷たいびんを連想させた。無色のガラスびんの中で、胎児の染色体を破壊する薬品が揺らめいていた。

まるで動物実験。実際、姉の中の胎児は主人公にとっては人間なんかではなく、姉を醜く変えてしまったただの得体の知れない動物のようなものだったのかもしれない。いや、動物以前に染色体の形のイメージしかない記号のような物だったのかも。

静かで冷たい空気の中にグレープフルーツジャムの甘酸っぱい味と香りが漂っている印象が強く残る作品。


◆ドミトリイ
古い学生寮を舞台にした作品。
両手と片脚がない先生と、入寮したいとこ、遠い昔にその寮にいた主人公の話。
過去に 突然いなくなってしまった寮生がいたり、何故か主人公が遊びに行く度にいとこがいなかったり、天井に謎の染みが広がっていたりと、ミステリーっぽい。
でも、染みの正体が私には途中でよめてしまったので残念。


◆夕暮れの給食室とプール
雨の中訪ねて来た不思議な親子と主人公の話。
給食室で機械的につくられていく食事の描写が面白い。
千匹の海老の海老フライとか思い浮かべた事がなかった。
夕暮れの給食室を見ると、雨のプールを思い出すという男の子供の頃の思い出話が良い。
子供の頃の憂鬱なことや、一寸したきっかけで何かが嫌になったりする様子が巧みに語られている。

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