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2007/03/31

映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(試写会)

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
2007年
監督:松岡錠司
原作:リリー・フランキー
公式HP
★★★★★

1001516_01_2たまたま試写会のお知らせを見つけて、気になっていたんだよなと思って応募したら当たった。
有給休暇中なのをいいことに、平日の夜有楽町まで観に行って来た。
仕事をしていたら、18時に有楽町に行くのなんて不可能だ。そういう時間のせいなのか、おばちゃん率が高かった。
上映前に挨拶をしていたおじさん(誰だっけ、読売系の誰か)曰く、550組募集のところ、4000名以上の応募があったらしい。その倍率で当たったのは幸運。それにしても、この人が話している間中、映画館にいる人たちはざわざわざわざわごにょごにょごにょごにょと私語が止む気配が全くなかった。大人としてそういうのってどうなのよ、なんか学級崩壊している学校の朝礼みたいだわよ。話はちゃんと聞きましょう。

リリー・フランキー作の210万部を越えるベストセラー「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」を映画化したもの。主人公の“ボク”にオダギリジョー、“オカン”に樹木希林。

2001年4月1日、桜の季節にもかかわらず雪が降った。
オカンとボクは、病院の窓から東京タワーを間近に見上げていた。
この話は、東京に弾き飛ばされ故郷に戻っていったオトンと、同じようにやってきて帰るところを失ってしまったボクと、そして、一度もそんな幻想を抱いたこともなかったのに、東京に連れてこられて、戻ることも帰ることもできず、東京タワーの麓で眠りについた、ボクの母親の、ちいさな話です。

映画のはじまりは1960年代の日本。
オトンに手を焼いたオカンはボクを炭坑町筑豊の実家に連れ帰り、女手一つでボクを育て始める。
やがて成長し、上京したボクは東京にオカンを呼ぶ事にする・・・といった話。
(※以下内容にふれていきます)

オカンの若い頃を、樹木希林の実の娘「内田也哉子」が演じる。
内田也哉子の演技って初めて見たのだけれど、お茶目で芯が強い若い頃のオカンを見事に演じることができていて、なかなか好感がもてるキャラだった。
私はドラマ版の方をとびとびでしか観ていないのだけれど、ドラマ版のオカンの若い頃ってどんなかんじだったのかしら。ちなみに映画版のオカンは美味しい糠漬けをつくったりする一方で、花札に興じ、男の人とデートもする、「女」としての魅力もしっかり持った強い人というかんじ。

ドラマ版もこみちの「ボク」が「大人になりきれていない男の子」で「マザコン」なのに対し、オダギリジョーの「ボク」は時には女を家に連れ込んだりもする「大人の男」である。
子供っぽいボクがオカンへの愛情を示す場面ははっきりいってわかりやすい。
それに対して、大人の男の中にある母親への愛情をさり気なく語れるところにオダギリジョーの「ボク」の魅力がある。その複雑な表情に仕草にぐっときてしまうのだ。
だから、私はオダギリジョーの「ボク」の方がリアルで好き。
でも、もこみちの「ボク」の方が汚れていなくてわかりやすいが故、万人受けしそうですけどね。

小林薫演じるオトンは、ただ破天荒で我が儘なだけではない。
強い行動で弱い面を隠しているように見えて、寂しげで深みがある。
若い頃の場面ではちゃんと髪の毛を増やしていて(笑 ちょっと面白い。

この映画は、もっている空気や呼吸がどこかレトロで心地よい。
昔の日本の風景、ファッション、建物、インテリアといったものだけでも、タイムスリップしたみたいでなかなか楽しめる。
オカンとボクが手をつないで歩く様子、オトンが気まぐれで船の模型をつくってくれる様子など心に残る場面も多い。
ボクが大きくなって場面が東京に移ってからも、その心地良い空気感は持続している。
松たかこ演じる彼女の垢抜けなさはほのぼのさせてくれる。
ただ、同じ若い女性では伊藤歩演じるひたむきなタマミの方が存在感があった。

樹木希林演じるオカンは、マイペースでどこかとぼけていて、そのとぼけ具合がとてもかわいらしい。
内田也哉子演じるオカンが歳とるとこうなるのだなぁとすんなり繋がる。
ボクに「東京に来なよ」と言われても、「本当にいいのか」と何度も何度も繰り返しつぶやく控えめなところがいい。また、オトンが病院にお見舞いに来るときいた時に、真っ先に身だしなみを気にする乙女な心も持っている。
オカンを観ていると、知らず知らずのうちに自分の母親の姿に重ねてしまう。抗癌剤で苦しみ、のたうち回るオカンの姿は正視するのが本当に辛かった。
病床に伏せるあたりから涙と鼻水が止まらず、顔中しょっぱい。映画館内も、あちらこちらからすすり泣く声が聞こえていた。

正直、観に行く前は今人気のオダギリジョーと名女優樹木希林という配役が出来すぎだよなぁと思っていて、だから逆に期待しないでいたのだけれど、本当にいい映画だった。どの俳優も役に見事にはまっていて、どの場面も必要な場面で、無駄が全くない。
それに感動的なだけではなくて、ところどころにぷぷっと笑ってしまうセンスのいい笑いの場面があって、上映中全く退屈しなかった。

東京で毎日同じ家でオカンと過ごしていた「ボク」が、それが「当たり前」と勘違いし、ありがたみを忘れて家にちゃんと帰らなくなる場面がある。でもオカンが入院して、はじめてそれが「有限な時間だった」と認識するのだ。
私はわりと普段から、「両親はいつまでも元気でいるわけではないから、今のうちに親孝行しなくては」と思い何やかんやとやっているタイプ。母親の身体が強くないことも要因にあると思う。でも周囲には、「親孝行なんてまだいいよ」と思っている人(特に男)がとても多い。そういう人には、是非この映画を観るというきっかけで、有限である時間の大切さに気付いて欲しい。失ってから気付くなんていう事にならないで欲しい。

親子で観に行くのもいい映画だけれど、私はパートナーと観に行って欲しい映画だなと思う。
お互いの両親を一緒にどう大切にしていくか話あう良い機会になるんじゃないだろうか。

母親に会いたくなりますね。

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