« ル・ビストロ・ダ・コテ (新宿御苑) | トップページ | 映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(試写会) »

2007/03/27

映画『蟲師』

「蟲師」
2007年
監督:大友克洋
原作:漆原友紀
公式HP
★★★☆☆(3.5)

1fac97427c2d4ba1d31e369416e204cd2003年には文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞を、2006年には第30回講談社漫画賞一般部門を受賞した漆原友紀の人気漫画を実写映画化したもの。
初日(舞台挨拶付き)を観てきた。
新宿ミラノ1の席数はなんと1064席。ちなみにこの日は全席指定。他の日は違うのかな。
こんな特大映画館に来るのは久しぶり。。。誰かが食べているであろうポップコーンの匂いとかするし、なんか「THE映画館」なかんじ。

私は午後の部のチケットを買ったので、上映前に舞台挨拶。
オダギリジョーが挨拶をすると、会場から「わ〜!!きゃ〜!」の声。たしかに生オダギリジョーを見られるのって嬉しい。
蒼井優が挨拶をすると、今度は「かわいい〜」「ほそ〜い!」の声。
かわいい〜はわかるんだけど、「細い」ってわざわざ大きな声で言いたくなる気持ちがよくわかんない。
太い女優さんを見て「ふと〜い!」と言う強者はいないのだろか(笑
あと舞台挨拶に来ていたのは大森南朋と守山玲愛。
司会者の質問する内容が全体的になんか一寸的外れだったかも。だって蒼井優に「目に見えない蟲と今回戦ったわけですが、どういうところに気をつけて演技しましたか?」みたいな質問をしちゃったりするのだ。それにまともにこたえたら、これから映画を観る観客にとって興醒めしそうな・・・。蒼井優は困って言葉をにごしていた。
まぁ、質問の内容を考えているのは司会者ではないだろうけど。

舞台は100年程前の日本。
かつて自然界に生息した精霊でも幽霊でも物の怪でもない妖しき生き物“蟲”。
この蟲は見る事が出来る者と出来ない者がいる。
蟲によって引き起こされる現象を調査し、人々を癒していくのが「蟲師」である。
蟲師のギンコは蟲を寄せつける体質の為、一所にいることができず、旅をしていた。
大雪の中一晩お世話になった家にいた少女真火。
角が生えてから両耳が聴こえないという彼女をギンコが看ることになる・・・といった話。
(※以下内容にふれていきます)

ギンコ役はオダギリジョー。
それにしても・・・色々なブログで言われていますが、「ゲゲゲの鬼太郎」のウエンツ瑛士と髪型がよく似ている。
しかも、映画館の入り口に、その「ゲゲゲの鬼太郎」のポスターだかパネルだかが飾ってあったのよね〜。あれはわざとでしょうか(笑

まずこの映画は日本の荘厳な大自然の様を味わえる。
緑が深く、夜にはどこまでも深い暗闇があり、人でも動物でもない類いが潜んでいてもおかしくない雰囲気。
「もののけ姫」の世界観に近いかな。ロケ地にこだわったというだけある。
次にVFXによってリアルな形が与えられた蟲たちも凄い。 
虹蛇という虹色の虫が天に昇り、うねりながら去って行く様子は一度拝んでみたいと思わせる。
また、蒼井優演じる淡幽が、菜箸で墨文字の虫を捕まえて巻物におさめていく様は華麗な舞踏のようで圧巻。
あとは重厚な音楽がその日本古来の世界観にぴったりと寄り添っていて心地よい。

各ブログではわりと評価が低い本作。
その多くが「ストーリーがわからない」「原作と違いすぎる」と言ったことを言っている。

映画は、母を土砂崩れで失った幼い男の子(ヨキ)のエピソードと蟲師ギンコのエピソードが交互に繰り返される。
私は原作を読まずに観に行ったので、一番はじめヨキ側はギンコ側のエピソードと同じ時間軸だと思い、ヨキを助けた女蟲師ぬいは遠くにいるギンコのライバルか何かかと思ってしまいました・・・。
後になってヨキはギンコの子供の頃だと気付いたけれど、ギンコは子供の頃の記憶がなくなっている設定なので、ヨキはギンコの回想シーンとも思えず、原作を知らない人にはわかりにくい。

また、「蟲」の説明がないままギンコが登場し、蟲につかれた人が現れ、蟲が出現する為、原作を読んでいない人は蟲とは何か蟲師とは何かを誤解してしまう可能性も高い。

このように冒頭から「2つのエピソードの関係は?」「蟲とは?」「蟲師とは?」と、原作を読んでいない者には謎だらけで消化に時間がかかる。

ストーリーは原作の『柔らかい角(1巻)』『雨がくる虹がたつ(2巻)』『筆の海(2巻)』『眇の魚(3巻)』の4つのエピソードに、映画版だけのオリジナルエピソードがミックスされて出来上がっている。
一話完結の漫画を映画化するのであるから、独立したエピソードを絡めるのは1つの方法である。
ましてや、漫画の世界を非常に忠実につくりあげたアニメの評価が高いとなれば、オリジナルでアレンジを加えざるを得ない。

でも、監督が好きな場面をつぎはぎした結果なのだろうか、ストーリーにまとまりがない。
多分、ぬいがいてヨキからギンコになったという主軸があって、その他の細かいエピソードでギンコという人物を描き出そうということなのだろうけど、要素をつめこみすぎてそれぞれが浅い。例えば淡幽との恋愛話は、ギンコに「好き」と言わせてしまう程の関係が描けていない。また、ぬいとのエピソードが後半微妙なのが痛い。
世界観がきちんとできあがっているなら、それを味わいストーリーは細かくおわないという楽しみ方がある映画もあるだろうけど、この「蟲師」というのはそもそも設定自体が特殊なのである。そういう題材のものはストーリーもしっかりしているのが普通だろうし、どうしても世界観だけを楽しませたいというならば、原作を知らない人でも冒頭でそこにすーっとはいっていけるような工夫が必要だろう。本作にはない。

それにしても、何故よぼよぼになった老婆のぬいを登場させたのか。
ギンコにぬいの最期に立ち会わせる事で、幼少期の昇華とか世代交代か何かを言いたかったのでしょうか。
ギンコがずっとぬいのことを探し求めていたのならともかく、ギンコは物語の大半で幼少期の記憶を失っているので、再会してもあまり感慨深くないし、若い頃はクールビューティーだったぬいが「ヨキ〜!!!」と叫びながら突進して来る様子は酷すぎる。ぬいは一見美しく冷たく、でも大きな愛で優しい人で、亡くなった?というところで亡くならせておくべきだったのでは・・・。

そんなかんじで、ビジュアルや世界観の良さに相反してストーリーにまとまりがなく設定がわかりにくい、勿体ない映画である。

映画を観た後に原作を読んでみた。
原作と映画の世界観の違いを指摘する声も多いようだが、私は世界観はああいうものもありだと思う。
原作の世界観が「細くて淡い鉛筆の線、葉っぱ、春野菜」といったイメージであるならば
映画の世界観は「筆文字、根菜、冬野菜」といったイメージ。(野菜がでてくるわけではないです・・・イメージです)
前者は繊細でふわりとしていて、でもふとした中にほろ苦い芯のある主張をもっているものならば
後者はどっしりと大地に根ざし、力強く滋養に富んだ中で生きているイメージ。

原作者漆原友紀さんは「昔話というものには、かつて元となった出来事があるものですが、原作が角のとれた昔話であれば、この映画は、元となった現実の出来事のような、生々しい手触りでこちらに迫ってきました。そしてそこには、蟲が「実在」していました。」と言っていた。
ストーリーは★3だけれど、この映画の生命力溢れる自然と蟲が融合した世界観は★4だと思う。
身体全体で緑が、澄んだ空気が恋しくなる。
子供の頃、暗闇を恐れていた気持ちを思い出す。

でも、個人的には原作を読んでからの方が楽しめると思う。

蟲って本当にいそうな気がしますね

|

« ル・ビストロ・ダ・コテ (新宿御苑) | トップページ | 映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(試写会) »

「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

私は日曜朝に観て来ました。
感想はほとんど同じ。
なんかちょっと勿体無い気がしました。
どうせなら3部作にすればよかったのに。。
音楽、風景、演技が良かっただけに
構成の不安定さがよけい気になりました。

投稿: kaori | 2007/03/28 17:32

やっぱりそうでしたか〜。
そうなんですよね、ひとつに詰め込まなくても・・・ってかんじで。
CMなんかだと、音楽、風景、演技の良さだけでているから、余計に期待はずれになってしまうのですよね。

投稿: *yuka* | 2007/03/30 18:43

オダジョー、いいな。羨ましいわ。
蒼井優ちゃんも好きだし、大森南朋も好きー。
ミーハーなので、私はこっちに食いついてしまう。

投稿: snow | 2007/03/31 14:31

生オダギリジョーはテレビや映画で見た通り、おしゃれでかっこよくて面白い人だったよ〜。
蒼井優もかわいかったし、大森南朋もいい味だしてた。

投稿: *yuka* | 2007/03/31 20:16

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/158210/5955555

この記事へのトラックバック一覧です: 映画『蟲師』:

» 蟲師の劇場版映画 [蟲師とオダギリジョーが好き]
ついに蟲師が劇場映画で公開されました。月間アフタヌーンで連載中の蟲師。単行本では350万部を売り上げる大人気コミック「蟲師」2006年講談社漫画賞に輝いた蟲師の劇場映画。ついに上映されましたね。蟲師の主演はオダギリジョーをはじめ豪華メンバー。独特なタッチで描かれた神秘的な蟲師の世界を映像化している。蟲師の映画の構想に2年、そして約3か月もの期間を要してロケ地探しに奔走。琵琶湖周辺や富士の樹海など日本人の原風景とも言える自然を背景に、最新のVFXを駆使して妖しき蟲たちの世界を描...... [続きを読む]

受信: 2007/04/08 07:09

» オダギリジョー主演実写映画蟲師(むしし)DVD [噂の情報屋]
第7回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞や 第30回講談社漫画賞一般部門などを受賞した単行本が累計380万部を売り上げる 「月刊アフタヌーン」連載の漆原友紀による同名漫画を原作に 「AKIRA」などの大友克洋監督が実写映画化したファンタジー巨編。 一般の人の目には見え..... [続きを読む]

受信: 2007/08/06 19:31

« ル・ビストロ・ダ・コテ (新宿御苑) | トップページ | 映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(試写会) »