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2007/01/28

陰日向に咲く

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劇団ひとり
★★★★☆
直木賞がとれるレベルのものを劇団ひとりが書いたらしいときいてから、ずっと気になっていた本。

5つの話で構成される本で、全て書き下ろし。
ホームレスに憧れる男、アイドルおたく、男にいいように遊ばれてしまうちょっと鈍いフリーター、ギャンブルにはまるだめ男、売れない芸人とそれを愛する女性、と、個性豊かな面々がそれぞれの話の主役をつとめる。
年代も性別もばらばらな主人公たちなのに、どれもとても自然な文面で書かれている。
処女小説とは思えないくらい、「うまい」のだ。
普通、新人の小説というと、どんなにうまくてもどこか「わざとらしさ」や「あざとさ」「どこかで見たような文体」が現れてしまうものである。
だが、本作は非常に安定した筆力で下がる事のない独自の飛行を続けている。

そして、各エピソードごとに、きちんとひとつの「サプライズ」が用意されていて、そこにさしかかった時に「ああ、だまされた〜、そうだったのか」なんて素直に思ってしまう。
よくあるパターンだという人もいるけれど、それを「よくある話」とは感じさせないうまいストーリー展開なのだ。
また、各ストーリーが繋がっている部分があって、それを発見するのも楽しみのひとつ。

小説の場合、文章の上手い下手とは別に、「センス」というものがある。
「上手いんだけど、いまいち」であったり、「荒削りだけど、なんかひかれる」であったり。
そういうのは、センスのあるなしで決まるのだと思う。

劇団ひとりの書く文章には、センスがある。
プロ顔負けの行間に潜むくすりとした笑いであったり、ほろりとこさせる人情味溢れるキャラクタ−であったり。
恩田陸氏が「ビギナーズラックにしてはうますぎる」といった意味がよくわかる。

私は4つめの話「Over run」を読んでいた時にぽろぽろ泣いてしまった。
まぁ、先日テレビでやっていた象のドキュメンタリーでも泣いてしまうような、最近涙腺弱り気味の私だけど、でもなんかねぇ、ぐっときてしまったのですよ。
べたかもしれないし、ありきたりかもしれないけれど、でも「人」の愚かさ、あたたかさ、愛しさ、そういったものをくるんとひっくるめてぱくりと味わえる小説だと思う。
一日でさらっと読めるし。

二作目書いてくれるのかな、是非書いて欲しい。

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「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

私の場合、yukaちゃんが紹介する本に対する文章が上手で、読みたくなるのよね。
まさに、この本も読んでみたいな~と思ってしまうね。
でもyukaちゃんが書くことが、多分、私も最もな気もしてしまうので、yukaちゃんに不評なものは、私もそう思ってしまいそうな…。

投稿: snow | 2007/01/29 01:03

ありがとう。
書評載せている甲斐があったわ!(笑
好みが似ていたりすると、評価も同じ方向にいくかもね。

投稿: *yuka* | 2007/01/31 21:54

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