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2006/12/18

結城座の「マジックランタン 注文の多い料理店(宮澤賢治)」

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今日は、結城座の「マジックランタン 注文の多い料理店」を観に三軒茶屋のキャロットタワー内シアタートラムへ。キャロットタワーは「人参色の26F建てのビル」だそうだ。
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人参色だからキャロットタワーなのかキャロットタワーだから人参色なのか。
・・・でも、人参ってほど綺麗な橙色じゃないような。

シアタートラムは駅から歩いて3分ほどの距離。

P1010010提灯がでているので、すぐにここだってわかる。
お客さんは、老夫婦、親子連れ、若者など様々。

マジックランタンとは、江戸写し絵のこと。
日本の写し絵のはじまりは、1801年。神楽坂の貸席の有料上演だったと言われている。
風呂と呼ばれる特殊な幻灯機で極薄の硝子に手書きされた絵を美濃紙のスクリーン等に映し出す。

今回は二部構成で、第一部「賢さんのトランク」第二部「注文の多い料理店」となっている。
間に15分の休憩を挟む。

第一部は、序章といったかんじ。
少年とおじいさんが宮澤賢治のトランクから名作の原稿を見つけ、それに対して会話をかわしたり、その物語が上映されたりする。
「ひのきとひなげし」の、ひなげしさんたちがきゃぴきゃぴしていてかわいかった。

(ひのきとひなげしの内容はこちら

Chuumon第二部は、これぞ本番といったかんじ。第一部とは迫力が違った。
まず、開始時の星空が美しく幻想的。
山猫がご馳走を今か今かと待つ時のリズミカルなダンスだとか、ぎらりと光る目と口だけの恐ろしい顔だとか、色と光と音楽がとても素晴らしい。
それに対して、太っちょの二人の若い紳士はちょっと抜けているので笑いを誘う。
二人が塗りたくったクリームって、バターなんですかね。えらく美味しそうだった。

読んでしまえばあっという間に終わってしまう話なのに、それをうまくうまく盛り上げている。

(注文の多い料理店の内容はこちら

パンフレットに、『注文の多い料理店』の序文が掲載されていた。
本当に、宮澤賢治が紡ぐ言葉たちはため息がでるほど美しい。
自然に囲まれて、当たり前に感じていた美しさや心地よさを忘れている現代人は多いと思う。
私も、ついつい汚染(?)されてしまう。
歪んでいた視点を変えられるような素晴らしい言葉なので、転載します。
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わたしたちは、氷砂糖をほしいくらゐもたないでも、きれいにすきとほつた風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
 またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗(らしや)や、宝石いりのきものに、かはつてゐるのをたびたび見ました。
 わたくしは、さういふきれいなたべものやきものをすきです。
 これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野はらや鉄道線路やらで、虹(にじ)や月あかりからもらつてきたのです。
 ほんたうに、かしはばやしの青い夕方を、ひとりで通りかかつたり、十一月の山の風のなかに、ふるへながら立つたりしますと、もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。ほんたうにもう、どうしてもこんなことがあるやうでしかたないといふことを、わたくしはそのとほり書いたまでです。
 ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでせうし、ただそれつきりのところもあるでせうが、わたくしには、そのみわけがよくつきません。なんのことだか、わけのわからないところもあるでせうが、そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。
 けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまひ、あなたのすきとほつたほんたうのたべものになることを、どんなにねがふかわかりません。

  大正十二年十二月二十日
宮沢賢治
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マジックランタンって日本の美しい伝統文化ですね

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