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2006/10/14

夢を与える

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綿矢りさ

「インストール」「蹴りたい背中」といった話題作を生み出している綿矢りさの芥川賞受賞第一作。

日本人とフランス人の子供である美しい主人公夕子。その夕子が生まれる経緯となる、母親が若い頃から物語は始まる。

主人公が生まれ、「スターチーズ」というチーズのCMに「半永久」的に起用されるあたりからやっと物語が流れ出す。主人公の成長にあわせ、生きているCMを撮りたいというスターチーズ。主人公が小さな頃から一生同じCMに出続けることになるなんて、なかなか面白い展開。

主人公は幼い頃から芸能界に関わりながら、どんどん成長していく。
成長にあわせ、チーズのCMでは等身大の姿で出演する。このチーズのシーンのところでチーズがいちいち食べたくなる私はきっと食いしん坊です。どんなチーズかは書かれていないけれど、きっとあれは昔から日本にあるスライスチーズなんだ。

大人に囲まれた世界にいる主人公は、クラスの子たちが子供に見えて仕方がないのだけれど、なんだかどこかで見たことがあるような話だ。美しくて同世代よりも大人な主人公というと山田詠美に憧れて書いたのかな?というかんじなのだけれど、私には憧れたくなるような主人公には思えない。「大人に囲まれて育った夕子にとって同年代の子は子供っぽすぎた」ように言葉で説明がはいっているのだけれど、それを読者に感じさせる描写に乏しい。
そんな風に「あ、無理してつくっているな」という箇所が多いのだけれど、母娘の素朴なエピソードなど自然な箇所ももちろんある。

やがて、主人公は恋をするのだが、この相手役がまた私はどう考えても好きになれないタイプ。
ダンスをやっていて、だらしない服を着ていて、オレ様なタイプの男。なので、読んでいてもちっともロマンチックに感じない。それに愛がなく乾いているのに行為ばかりが生々しい性描写がいくつもあり、読むのが苦痛。

そうして、物語のラストでは「え、こんな終わり方なの?」とがっかり。



スターチーズのCMに半永久的に出続けることになった という出だしはとても面白いのだからもっといい方向にいけたのではないかな?と非常に残念に思う小説。

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