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2006/10/05

薬指の標本

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薬指の標本
小川 洋子
新潮文庫
★★★★★
主人公の女性は、勤務先のサイダー工場で事故に遭い、薬指の先端を切断してしまう。
工場を辞めたあとに、「標本室」で事務員として働き始める。
思い出も、音楽も、あらゆるものを標本にできる「標本室」を舞台に描かれる愛のかたち。
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サイダーの中でゆらゆらとゆれ、サイダーをピンクいろにそめあげる肉片だとか
長い間使われていないお風呂場のざらっとしたタイルであるとか
場面場面の描写が素晴らしい。
映画を観ているかのように、目の前にくっきりと映像が浮かぶ。

標本室は、依頼主が標本にしたいというものが、どんなものであっても決して断らない。
依頼主たちは、思い入れの強いものたちを標本にしてくれと持ち込むわりに、標本になった後は見にこようともしない。
これは、依頼主たちが持っている形を成さない「執着」が標本にされることで浄化されているということではないだろうか。標本という「形」で残し、所有者が自分であることを記録することで。
なくすのでもなく、捨てるのでもなく・・・「記録する」。それが標本室。
たしかに存在したことが、そこで証明される。
それが依頼主たちの希望。

そんな標本室を舞台に描かれる愛。
でもなんで、欠けてしまった薬指を彼女は最後に選んだのでしょう。
欠けてしまった薬指と彼女と彼を結ぶ線は一寸薄い気がするのです。
ここで薬指を持ってくるのであれば、もっとそこにまつわるエピソードが欲しいなと思ってしまった。

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薬指の標本小川 洋子著新潮社 (1998.1)通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る 楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡…。 人々が思い出の品々を持ち込む「標本室」で働いているわたしは、ある... [続きを読む]

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