トップページ | 映画「真昼の暗黒」 »

2004/08/25

華氏911

B0001x9d6809_sclzzzzzzz_
華氏911
★★★★★
年度: 2004
国: 米
公開日: 2004/8/14
世界中で政治論争にまで発展している超話題作。主役はジョージ・W・ブッシュアメリカ大統領。
---
観たいなーとは思っていたのだけれど、それは「興味がある」程度のものであって、あまり大きなものは予想していなかった。私はそもそも、前作の「ボウリング・フォー・コロンバイン」を結局観そびれていたし・・・。

そんな私に、友人が「華氏911を観にいこう!」と言うので、じゃぁ行くかーということで、吉祥寺のサンロード内の映画館へ行った。

映画が始まってみると、ものすごい引力で映画の世界に引き込まれた。

私達が何かを「知る」時というのは、かならず何らかの情報に基づく。
自分の身近で起きたこと以外は、伝聞というかたちをとる。世の中の出来事全てを自ら体験することなど不可能なので、自分の中にある「知識」というのは、この伝聞に拠るものばかりだ。
だが、この時に、情報を意図的に操作されたり、隠されたりしていたら、誤った情報を「事実」として認識してしまう。
「事実」が誰にも知らされなければ、嘘が事実を侵食していき、捻じ曲がった歴史が出来上がる。歴史は記録ではない。誰かの意図で変えることだって、あったことをなかったかのようにすることだって可能なのだ。当たり前のことだけれど、日常生活では意外に忘れている感覚で、はっと気が付くと、怖い。
この映画を通して、その「恐怖」を感じた。

この映画は、歴史の隠された部分を暴く。
ブッシュ一族とオサマ・ビン・ラディンの一族との繋がり、選挙時の不正行為、9.11テロが起きた時の情けない様子(彼は小学校見学の最中で、報告を聞いた後、誰からも助言を得られず、数分間呆けていたのだ)など、例をあげたらきりがないほどの多くのことを、独特のユーモアも交えつつ、ムーアが検証していく。
ムーアが暴いたことは、「知る人ぞ知る」ことであって、ムーアだけが知っていたことではないらしいが、それを観たものが納得できるかたちにできるところが素晴らしい。しかも、ユーモアセンスもいいので、ぐいぐい引き込まれる。
私は政治的知識に乏しいので、本当に興味深かった。そして自分の無知さ加減が恥ずかしくもあった。
まぁ、ムーアの視点で伝えているという、これも一種の「伝聞」ですから、鵜呑みはよくないのだろうけれど。

でも、そうした「政治的部分の真実」より、何より私が衝撃を受けたのは「戦争の真実」だった。
イラクの本当の姿があった。
兵力を持たない日本で、戦争を知らないまま大きくなった私は、戦場の凄惨さを肌で感じたことなどなかった。
映画の中には、日本のマスコミでは規制されて報道されなかった映像もあった。
残忍な映像は「教育によくない」とか「人道的にどうたら」とかで、規制されてしまうのだろうけれど、本当の姿を見ないで「戦争反対」とか「自衛隊派遣賛成」とか言えるのはなんだかおかしい。たとえ見ている瞬間は辛くとも、「知るべき」ことはある。これは「知るべき」ことだ。
空爆でズタボロになった身体を乱暴に縫い合わせた人、真っ黒になって亡くなってしまった人・・・きりがない。みんな一般人だ。
「イラクで亡くなった一般人がいる」
言葉で聞くのと、映像で観るのと、どちらのほうが真実がより伝わるか・・・そんなことは火を見るより明らかだ。

イラクだけではない。
米兵だってそうだ。
貧しくて、学費を払うことができず、仕方がなく軍にはいっていく若者達。米兵の大多数をそういった貧困層の人たちが占める。
どうして、富める人たちの利己心の為に、貧しい人たちが命を投げ出さないといけないのだろう。
議員の子供で、イラクに行ったのはたったの1人だったという。「国の為に軍に入り、イラクに行くのは素晴らしい」「愛国心」「開放の為の正しい戦争」そういった御託を言い、戦争を支持することができるのは、自分は安全なところでぬくぬくとしていられるからだ。誰だって自分の子供を、死の危険がある場所へなんてやりたくない。

誰だって死にたくないに決まっているのに、仕方がなく戦地に赴いている。
それなのに、信じることができる戦争の理由がなかったら・・・ましてや欺かれていたら・・・そんな悲しいことがあるだろうか。

自分の息子がイラクで亡くなってしまった人の嘆きを、米兵の膨大な数の棺を、亡くなった人たち1人1人のエピソードを、どうして今まで報道しなかったのだろう。

涙なくしては観れない。
でも、絶対に観るべきだと思う。
戦争を肌で感じたことがない人は、絶対に。

戦争賛成とか
反対とか
イラク攻撃は正解とか
間違っているとか
そんなことは抜きで
とにかく
「知る」
必要がある。

観終わった後、あまり言葉がでてこなかった。

衝撃受けすぎ?
でも、本当に、本当に、痛かった。

戦争に対して憤りを感じる方はクリックお願いします

|

トップページ | 映画「真昼の暗黒」 »

「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/158210/3691613

この記事へのトラックバック一覧です: 華氏911:

トップページ | 映画「真昼の暗黒」 »